Picture Power

【写真特集】カンボジアに狂乱を呼ぶチャイナマネー

CHINA MONEY ADDICTION

Photographs by JOHN VINK

2019年04月04日(木)20時00分

開発が進む首都プノンペンのコーピッチ地区。周辺の高層ビルはどれも過去10年以内に建てられたもので、川岸には開発地区から立ち退かされた貧困層が暮らす

<中国から流れ込む巨額の投資マネーでカンボジアは今、大きく姿を変えつつある>

古い街並みは高層ビルや大型商業施設、高級住宅街に様変わりし、道路や港の急速な整備が進み、リゾート地には新たなカジノが続々と誕生――。長年にわたる苦難の時代を経験し、現在も東南アジアの最貧国の1つであるカンボジアは今、大きくその姿を変えつつある。

背景にあるのは、中国から流れ込む巨額の投資マネーだ。中国にとってカンボジアは、地政学的に重要な意味合いを持つ。習近平政権が推進する一帯一路構想の戦略拠点となるだけでなく、南シナ海の領有権問題をめぐって対立するASEANを内部から切り崩す「駒」にもなる。

一方、1985年から続くフン・セン首相によるカンボジア独裁政権にとって、中国は最大の庇護者。今年の上院選、下院選とも与党が全議席を独占したが、野党党首の逮捕や野党への解散命令のような強引な政治手法に口は出さずカネを出す中国は、民主化を求める欧米より都合のいいパートナーだ。

こうした両国の思惑が一致した結果がカンボジアの激変だ。ただし乱立する高級物件の買い手は中国人投資家ばかりで、地元経済や住民への恩恵はわずかとの指摘もある。中国への依存は、この国に本当の成長をもたらすことができるのか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

商船三井の今期、純利益を500億円上方修正 市場予

ビジネス

午前の日経平均は続伸、米株高の流れを好感 徐々に模

ワールド

トランプ氏「BRICS通貨つくるな」、対応次第で1

ワールド

米首都の空中衝突、旅客機のブラックボックス回収 6
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 10
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story