- HOME
- コラム
- パックンのちょっとマジメな話
- 「自己責任論はあり得ない」から議論を始めよう
「自己責任論はあり得ない」から議論を始めよう

帰国後に記者会見した安田純平氏 Issei kato-REUTERS
<シリアで拘束されていた安田純平氏の帰国を祝うとともに、ジャーナリストの役割について改めて議論が進むといい。ただし、危険を冒した国民に対しても政府の保護責任があることには議論の余地はない>
こんな時に「自己責任」ほど無意味な表現はない。
安田純平さんがシリアの武装組織による拘束から解放され帰ってきた。おかえりなさい。無事の帰国を心から祝う。
同時に、ジャーナリストの役割や紛争地帯での正しい行動とは何なのか、国民が拘束されたときの国の正しい対応とは何なのか、祝いながらでもいいから、こんなことも考えないといけないと思う。むしろその議論が進むことにこそ、この事件や騒動の意味があるだろう。
だから「国が『行くな』という地域に行った人が悪い」と全部片づけるのは安易すぎる。政府の勧告を無視した人も、危険を冒した人も国民は国民。その人に対する国の保護責任は消えない。
べろんべろんに酔っぱらい、交通事故を起こした人にだって救急車を派遣するだろう? それと一緒。もちろん、後で刑事責任や賠償責任は生じるかもしれない。その「事故責任」はある。でも、国が見捨てることはない。
そもそもこの言い方は2004年にイラクで日本人3人の誘拐事件が起きた後、流行語大賞候補になるぐらい流行ったが、当時の小泉政権の閣僚が発したことで世の中に広まったものだ。でもこれは政府が最も言ってはいけない言葉だろう。片方のミスで簡単に相互責任が解消できるならば、政府が間違った政策をとるたびに、「そちらの自己責任だから」と言って、国民が税金を払わなくなってしまうではないか。
「自己責任」と対照的なのは、1977年の日本赤軍によるダッカ日航機ハイジャック事件のときに有名になった「1人の命は地球より重い」という、また極端な主張。福田赳夫首相はそう言い、テロリストの要求を丸のみにして現金600万ドル(当時約16億円)を渡し、彼らの仲間ら6人を釈放した。もちろん、そのときの151人の人質は飛行機に乗っただけで「責任」は全くないはず。それでも、福田さんの判断は「次のハイジャックを引き起こす、テロへのご褒美」として国内外から強烈に非難された。
つまり、当事者の行動が悪くても見捨てるわけにはいかないし、良くても無制限な救出策は許されない。結局はケース・バイ・ケースで考え、当事者の活動による国益も、捕まったときの状況も、世論も国際情勢も、数々のファクターを計算式に入れ、正しい対応を算出する以外はない。
「103万円の壁」見直しではなく「壁なし税制」を...金持ち優遇をなくす「3つの方法」 2025.02.02
トランプ氏が米ドルの「ライバル」である仮想通貨を推進してアメリカの「特権」を捨てる理由 2024.12.28
トランプを再び米大統領にするのは選挙戦を撤退したはずのケネディ? 2024.09.19
トランプがバイデンに与えてしまった「必殺技」...最高裁判決で無限の権力を手中に? 2024.08.06
討論会惨敗の米民主党がここから「仮病」で大統領選に勝つ方法 2024.07.01
謎のステルス増税「森林税」がやっぱり道理に合わない理由 2024.06.11
-
大手外資系金融テクノロジー企業の受付/未経験OK・想定年収364万円〜/東京
グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社
- 東京都
- 月給26万円~32万円
- 正社員
-
「虎ノ門」正社員/外資系企業の受付/未経験OK!想定年収350万円〜/土日祝休み
グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社
- 東京都
- 月給25万円~30万円
- 正社員
-
外資企業の受付/英語活かせる・年休120日/六本木
グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社
- 東京都
- 月給28万6,000円~35万8,000円
- 正社員
-
「東京」外資系投資銀行のチーム秘書/土日祝休/年収350万円〜/コミュ力活かせる
グローブシップ・ソデクソ・コーポレートサービス株式会社
- 東京都
- 月給25万円~30万円
- 正社員