コラム

今日からできるドローン対策、まずは「見せパン」で?

2015年05月28日(木)18時00分

 何かとお騒がせのドローン。

 官邸やらホワイトハウスだけでなく、善光寺の境内やイギリス大使館の敷地にドローンが墜落したり、都立公園内のドローン飛行が禁止になったりと、ドローン関係のネガティブなニュースが多い。「安全第一」の精神が強い国民はドローンの危険性に敏感らしい。

 一方アメリカでは、国境付近での密入国者の捜索、大規模農園での農薬散布、南部地域での猪狩りと、各地ですでにドローンは大活躍している。すっかり有名な話ではあるが、アマゾンやドミノピザもドローンを使うデリバリーシステムを開発中だ。

 アメリカ人が様々な分野でドローンを積極的に導入しているのは、その可能性を無限大だと感じるから。それにアメリカでは安全が第一ではない・・・・・・2番手、3番手でもない気がする。おそらく優先順位としては、安全面より「あったかいピザ」が確実に上なんだろう。

 アメリカはちょっと行き過ぎているかもしれないが、慎重派な日本にもいずれはドローンによる「空の産業革命」が来るのではないか。そもそも日本の方々は、利便性や最新技術に深い関心がある。

 きめ細かく時間指定ができる宅配便や、個室に居ながらにしてタブレットで注文が可能な居酒屋があるこの国が、ドローンを導入しないはずがない。お花見の席にドローンによる甘酒や焼き鳥のデリバリーもできるでしょう。

 もちろん都立公園以外でね。

 ドローンにおいて僕が心配しているのは、安全よりもプライバシー。安全対策に関しては、ドローンに自動制御装置を取り付けたり、所有登録制度や操縦免許制度を導入すれば対策は可能だろう。「安全第一」は常識。すぐ実現するはず。しかし「プライバシー第一」という言葉もないし、そもそもプライバシー保護の境界線はあいまいで、それ自体が難しい。

 僕たちの生活は、日々、普通に監視されている状態にある。外出中は、街の至る所で防犯カメラの目が光る。携帯電話の微量の電波から、居場所もある程度特定できる。在宅中だって、警察が赤外線センサーで家の中の熱源を確認することも可能だ。

 さらに、最新のレーダーは振動や動きに敏感で、外から室内の人の場所や動きを観察できる。このレーダーはアメリカでもう使用中だし、ドローンにだって搭載可能! 機械好きな僕にとって、これは夢のコラボだ。

 無人飛行のロボットが壁を透視できるって、最高! 早くテレビショッピングで売って欲しい。超わくわくする!

 しかし、同時にドキドキもする。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

再送-インタビュー:トランプ関税で荷動きに懸念、荷

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック上昇、トランプ関税

ワールド

USTR、一部の国に対する一律関税案策定 20%下

ビジネス

米自動車販売、第1四半期は増加 トランプ関税控えS
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story