コラム

今日からできるドローン対策、まずは「見せパン」で?

2015年05月28日(木)18時00分

 今この原稿を書いている最中、テレビで、ある"ゴミ屋敷"のニュースが流れていた。上空からその家の屋根や敷地を映し出している映像は、ドローンで撮ったものかもしれない。本当にゴミだらけで実に見ごたえのある映像だ。

 だが近所迷惑とはいえ、これは個人の空間。本人にとっては自分だけの、とっても大事な「マイ・プライベート・ゴミ屋敷」でしょ。もちろん道にはみ出したりしているのはいけないけど。

 今まで、上空から見られることを意識する必要はなかった。一軒家に住んでいる人は、庭やバルコニーで日光浴をしてもOK。マンションの高層階なら、パンツ一丁でゴロゴロしていても平気。年頃の娘にうざがられるぐらいの被害だろう。

 今後もし、プライバシー保護の観点からの議論がなされないままにドローンが普及するとしたら、その常識も変わる。いつ、どこから見られているのかわからない世界。リビングでゴロゴロするときはせめて、きれいなパンツを履かないと!

 芸能人をやっている僕は、プライバシーのない状態にある程度は慣れている。以前、薬局に痔の薬を買いに行った際、レジの女性に「あっ、パックンさんですか?」と聞かれ、恥ずかしくなってヘアジェルだけ買って帰ったこともある。

 また、この間女性誌の記者に待ち伏せされて、自分の家のことや近所付き合いのことについて色々書かれてしまった。優しく書かれた記事ではあったが、やはり息子が学校で家の値段をネタにされ、からかわれて帰ってくると気持ちは重くなる。

 ちなみに「いくらだったと思う?」と息子に問うと、「1万円?」とのお答えが。 ・・・・・・まあ、そんなもんだよ。

 自ら選んだ職業だし、プライバシーをある程度犠牲にするのが芸能人や政治家だろう。でも、そうでない人たちがそんな代償を払う必要はないはずだ。ドローンをきっかけにプライバシーの保護範囲を再確認した方がいい。

 自分の行動はどこまで監視されていいのか? 自分の肖像権はどこまで有効なのか? インターネットの検索で出てくる情報は自分で決められないままでいいのか? 課題は山ほどある。

 これらについて国民が各自で議論しないといけない。

 みなさん、議論していてください! やらないないとバレるよ~。

 僕が頭上から、壁を透視できるドローンで監視しているからね。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

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