イスラエルとパレスチナの監督が撮った『ノー・アザー・ランド』が呼び起こす本音と建前の板挟み
本作は昨年2月のベルリン国際映画祭で上映されて大きな評判となり、最優秀ドキュメンタリー賞と観客賞を受賞した。しかしベルリン市長は、監督の受賞スピーチが反ユダヤ主義的だとして強い抗議を示したという。本音と建前の乖離。ドイツも含めて西側世界が陥ったジレンマが、ここに見事に体現されている。
『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』
(2月21日公開)
©2024 ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA
監督/バーセル・アドラー、ユバル・アブラハーム、ハムダーン・バラール、ラヘル・ショール
<本誌2025年2月11日号掲載>
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