ナチスへの復讐劇『手紙は憶えている』とイスラエルをめぐるジレンマ
ILLUSTRATION BY NATSUCO MOON FOR NEWSWEEK JAPAN
<ユダヤ人迫害への後ろめたさから戦後の西洋世界はイスラエルの加害を強く批判できない。そのジレンマを反転させながらクリアした映画が『手紙は憶えている』だ>
アメリカの介護施設で暮らすゼブ・グットマンは、アウシュビッツ収容所のサバイバーだ。最近は認知症が進行し、妻だったルースが死んだことさえ起床のたびに忘れている。
この介護施設には、ゼブと同じくアウシュビッツにいたマックスも暮らしている。2人の共通項は腕に刻印された囚人番号と、アウシュビッツで自分以外の家族を全て殺されたこと。ゼブは、今は車椅子でしか動けないマックスから自分たちの家族を殺したナチス元親衛隊員の名前と住所が記された手紙を託される。
戦後に元親衛隊員はアメリカに逃亡し、偽名を名乗って血塗られた過去を封印した。同姓同名でほぼ同じ年齢の男は4人。そのうちの1人が元親衛隊員だ。こうしてゼブの復讐の旅が始まる。
ナチスやホロコースト(ユダヤ人虐殺)をバックグラウンドにする映画は、1つのジャンルと規定できるほどに数多く作られてきたが、特にここ数年は明らかに増えている。
その要因の1つは右傾化だ。集団化が加速して異端や少数派への差別や排斥感情が高揚し、移民排斥をスローガンにする右寄りの政党への支持が急増している。だからこそホロコーストの記憶を喚起しなければいけない。欧米の多くの映画人はそう考えたのだろう。
ナチスへの復讐劇『手紙は憶えている』とイスラエルをめぐるジレンマ 2025.01.17
和歌山県太地町のイルカ漁を告発した映画『ザ・コーヴ』は反日なのか? 2024.12.21
統合失調症の姉と、姉を自宅に閉じ込めた両親の20年を記録した『どうすればよかったか?』 2024.12.07
偶然が重なり予想もしない展開へ......圧倒的に面白いコーエン兄弟の『ファーゴ』 2024.11.22
韓国スパイ映画『工作』のような国家の裏取引は日本にもある? 2024.10.31
無罪確定の袴田巖さんを22年取材した『拳と祈り』は1つの集大成 2024.10.19
『シビル・ウォー』のテーマはアメリカの分断だと思っていたが...... 2024.10.12
-
港区 営業アシスタント「海外ネットワークを持つ外資系総合商社」フレックス/残業月10h/年休120日
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
貿易事務/流通関連 駅チカ/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
経験5年必須/プリセールス/年商250億円企業/リモート可/外資系企業
SAI DIGITAL株式会社
- 東京都
- 年収400万円~750万円
- 正社員