小津安二郎の『東京物語』はイメージよりもエグイ......でもやっぱり窮屈

ILLUSTRATION BY NATSUCO MOON FOR NEWSWEEK JAPAN
<大学の映画サークル時代、半ば義務感で観た『東京物語』の内容はほとんど記憶に残っていなかった。つまり「刺さらなかった」のだが、40年近く過ぎて改めて観てみると...>
大学の映画サークル時代、小津安二郎の作品は、教養として観ておかなければいけない映画の筆頭だった。でもどちらかといえば洋画派で、しかもスピルバーグとアメリカン・ニューシネマが大好きだった僕は、小津の作品を積極的には観なかった。代表作である『東京物語』は名画座で(半ば義務感で)観ているはずだが、その内容はほとんど記憶にないし、その後も小津の他の作品を観ようとは思わなかった。つまり「刺さらなかった」のだろう。
それから40年近くが過ぎて、僕の感受性もずいぶん変わったはずだ。そう考えながら再見して、こんなエグイ映画だったのか、と驚いた。もっと微温的で、ほんわかした家族愛の映画のような印象を持っていた。
黒澤明を別格にすれば、小津は世界でも最も敬愛される日本の映画監督といえるだろう。ゴダールにキアロスタミ、ヴェンダースにジャームッシュにカウリスマキなど、多くの巨匠たちが小津の作品へのオマージュを自らの作品で示している。カメラは絶対にフィックス。徹底したロー・ポジション。2人の会話を撮るときには、2人の位置を結ぶイマジナリーライン(自然に見えるアングル)を無視して、カメラに向かってそれぞれしゃべらせる。決して俳優たちのアドリブを許さない。「僕の作品に表情はいらない。能面でいってくれ」と小津に言われたことを、笠智衆は後に明かしている。
その笠が演じる年老いた父親と東山千栄子演じる母親。末娘の京子(香川京子)と尾道で暮らす2人は、東京に暮らす子供たちを訪ねるために上京する。久しぶりに会った長男(山村聰)とその嫁(三宅邦子)、長女(杉村春子)とその夫(中村伸郎)たちは、2人が到着した日はかいがいしくもてなす。だが、仕事や日常に忙しい彼らは次第に2人を持て余すようになり、せっかくの機会だからゆっくり湯治してくださいと言い訳して熱海へ追いやってしまう。
当初は子供たちのプレゼントに喜ぶ2人だが、長女が見つけた格安の宿は若者向けだったらしく、2人が休む部屋のすぐそばの大広間では夜中まで若者たちが大騒ぎだ。
大勢の哄笑が聞こえる部屋で2人が悶々と布団の上で寝返りを続けるこのシーンは、観ていてかなりつらい。戦争映画やホラー映画など残酷で凄惨なシーンはさんざん観ているはずなのに、ある意味でそれ以上に胸が痛くなるシーンだ。戦死した次男の妻である(つまり血のつながりのない)紀子(原節子)だけが温かく2人に接することで、実の子供たちの薄情さはさらに浮き彫りになる。
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