雇われる側を叩く言葉は自らの首を絞める
雇う側はこの規制をかいくぐり、できるだけ安く合法的に雇う方法を編み出そうとする。
最近ではライドシェアやデリバリーなどのいわゆるギグワークが典型で、プラットフォーム側はドライバーを個人事業主と定義し、最低賃金も有給休暇もない関係性を構築した。だが今年2月にはイギリスでウーバーのドライバーたちが最高裁で勝訴し、個人事業主ではなく従業員だと認めさせている。
私たちの大半は雇われる側だ。にもかかわらず、同じ側にいる人の権利を攻撃し、雇う側の利益に貢献してしまうことがある。知らず知らずのうちに。
妊娠した実習生をけなしている人は、外国人だけの話だと高をくくっているかもしれない。だが、雇われる側の権利を掘り崩す言葉を広めることで、自らの首を絞めている可能性も理解したほうがいい。
不要になった実習生を切り捨て慣れた経営者たちは、日本人の労働者だからと容赦するだろうか。そう信じるに足る理由など、どこにも見当たらないのだけれど。
<本誌7月6日号掲載>
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
梅村みずほ議員のウィシュマさんをめぐる「悪質な責任転嫁」と過去の発言との同型性 2023.05.21
技能実習制度「廃止」の言葉を疑う 2023.04.19
離脱(Exit)と発言(Voice)、「この国から出ていけ」について 2023.01.20
FIFAは「サッカーに集中しよう」と言うが、W杯は非政治的ではあり得ない 2022.12.14
マイノリティーであることを「意識しない」社会がよい社会か? 2022.11.19
国葬で噴出した「日本人」の同調圧力 2022.10.18
「私は信じております」自民党の統一教会報告は逆効果だ 2022.09.20