コラム

「予測不能」なトランプの行動を予測する──今こそ、日本でも夜明けを迎える「未来学」

2025年01月22日(水)17時22分
『未来学 人類三千年の〈夢〉の歴史』

Natasa Adzic/Shutterstock

<未来という漠然とした対象について深く学ぶ方法や知識は、ビジネスや教育の現場でもバックキャスティングなど戦略的な思考や手法の形で実践されている>

2025年が明けた。年末年始の報道を見ると、例年通り年明けにふさわしい希望や平和を願う記事が目を引く。

特に今年は、4月に開幕する大阪・関西万博に関する特集記事も多かった。万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン(Designing Future Society for Our Lives)」。前回開催の2020年ドバイ万博(コロナ禍で2021年に延期)は「心をつなぎ、未来を創る(Connecting Minds, Creating the Future)」がテーマだった。「未来」という言葉が共通する。

さらに遡ること半世紀以上前、1970年に日本で行われた大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」、20年前の2005年の愛・地球博(愛知万博)は「自然の叡智(Nature's Wisdom)」だった。万博はいずれも、時々の世相や人類の願いを反映した高邁な理念、メッセージが込められている。大阪・関西万博をめぐる開催経緯や予算超過、政治的ごたごたはいったん脇に置き、来場者が将来の世界に少しでも希望を見いだせるような体験ができることを切に願う。

トランプ氏返り咲き、どうなる2025年

現実は厳しく不確実性に満ちている。2025年がどうなるか、どのような未来が待ち受けているかについては極めて不透明だ。その不透明感を醸成する要因の筆頭に挙げられるのが、ドナルド・トランプ氏の米大統領返り咲きだ。トランプ氏は今や不確定・予測不能の代名詞とさえなりつつある。

プロフィール

南 龍太

共同通信社経済部記者などを経て渡米。未来を学問する"未来学"(Futurology/Futures Studies)の普及に取り組み、2019年から国際NGO世界未来学連盟(WFSF・本部パリ)アソシエイト。2020年にWFSF日本支部創設、現・日本未来学会理事。主著に『未来学』(白水社)、『生成AIの常識』(ソシム)『AI・5G・IC業界大研究』(いずれも産学社)など、訳書に『Futures Thinking Playbook』(Amazon Services International, Inc.)。東京外国語大学卒。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

海外動向など「不確実性高い」、物価に上下のリスク=

ワールド

中国の秘密ネットワーク、解雇された米政府職員に採用

ビジネス

米、輸出制限リストに80団体追加 中国インスパー子

ワールド

トランプ氏、情報漏洩巡り安保チーム擁護 補佐官「私
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 7
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 8
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 9
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 10
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story