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アマゾンとグーグルの相違点を「経営」から探って分かること
さらには、グーグルのシュミットとアマゾンのベゾスの共通点であり、経営者やビジネスリーダーにとって最も重要な仕事である意思決定のルールについても記述しておきたいと思う。
アマゾンでの意思決定のルールに、後戻りできるものと後戻りできないものの2つに分けるというものがある。後戻りできるものに関しては失敗する可能性も考慮に入れつつどんどん決定すればいいが、後戻りできないものは深く議論するというルールである。これは、「小さな意思決定はメンバーに任せる、大事な意思決定のみ自分も深く関与する」という態度の表明でもある。
一方でグーグルのシュミットは『ハウ・グーグル・ワークス』の中で、「一般的にCEOはなるべく意思決定の数を減らすべきだ」「企業の幹部が身につけるべき重要なスキルは、自ら意思決定すべき問題と、部下に任せるべき問題を見分ける能力だ」と述べている。やはりグーグルにおいても意思決定と権限委譲については経営の生命線であると考えられているのだ。
グーグルとアマゾンのトップマネジメントが意思決定のルールとして共通に指摘していることは、私たちも大いに参考にすべきだろう。
最後に、米国では「ベゾス帝国」という言葉がある。ベゾスが個人的に株式を所有している企業群、あるいはベゾスが主要株主を務めている企業群ともいえるものである。
ベゾス帝国には、宇宙事業会社ブルー・オリジン、Airbnb、Uber、Rethink Roboticsなど数多くの最先端企業、ワシントン・ポスト、ビジネス・インサイダーなどのメディア企業、さらにはここで紹介したグーグルも含まれている。ベゾスはグーグルへの初期のエンジェル投資家の1人でもあるのだ。
『アマゾンが描く2022年の世界
――すべての業界を震撼させる「ベゾスの大戦略」』
田中道昭 著
PHPビジネス新書
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