コラム

根拠なきデマと誹謗中傷に新宿案内人がすべてお答えする

2018年09月19日(水)17時10分

私は習を敵に回さず、中国の腐敗を告発する郭のやり方を支持している。彼は戦略的なのだ。習まで敵に回して戦うのは一見かっこいいやり方だが、それでは何の結果も出ないことは海外の民主活動家の歴史を見ればわかる。

共産党批判を続けている私がなぜ、無事に日本に戻れたのかも分からないが、ただ1つ言えるのは、共産党は共産党を批判する外国人をすべて捕まえるわけではないということだ。軍事施設を撮影するような明らかなスパイ活動は別だが、外国のメディアで共産党を批判するぐらいで外国人を逮捕していたら監獄がいくつあっても足りない。中国にかなり厳しい日本の産経新聞も、なぜか北京支局はつぶされていないではないか。

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この「日本政府某秘密部門とは何でしょうか?」という書き込みは、子供と義母の日本での難民申請を手伝った反中国政府のユーチューブ番組司会者、路徳のツイートに反応したものだ。なぜ路徳が「秘密部門」と書いたのかは知らないが、2人の難民申請を私の友人の日本政府職員が手伝ってくれたのは事実だ。

彼は誰もが知っている政府機関の職員だが、「某秘密部門」などには属していない。そもそも日本政府に秘密部門はないはず。彼と私はあくまで正式なやり方で申請を手伝い、2人は申請を受理され、特別活動ビザを交付されたのだ。

◇ ◇ ◇

以上が私からの「回答」だ。繰り返しになるが、私は日本を愛しているから日本国籍を取得し、日本で政治家になることを目指している。元・中国人としては、当たり前だが日中友好の実現も目標の1つだ。

前回のコラムで私はこう書いた。

「海外民主派と呼ばれる人々がいる。世界各国に住み、中国政府を批判する人々だ。だが彼らには何の力もなく、ただあれこれ偉そうなことを言うだけの存在だ。そんな彼らに中国を変えることはできない。ならば別の成果を出そうと始めたのが、内ゲバだ」

「『あいつは中国のスパイだ』などとでっちあげては誹謗中傷を重ね、次々と人を陥れていく。その姿は無実の人々を吊し上げては殺していった文化大革命の紅衛兵とかぶる。海外に住み、中国政府を批判しながらも、その心性は中国人の暗部をそのまま残している」

「そんなくだらないお遊びに関わるのは時間の無駄にしか思えない。そして、彼らのデマに釣られて、時間を無駄にする日本人がいることも残念に思う」

思いがけず、また「くだらないお遊び」に関わってしまった。「時間の無駄」を繰り返すのは今回で最後にする。

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プロフィール

李小牧(り・こまき)

新宿案内人
1960年、中国湖南省長沙市生まれ。バレエダンサー、文芸紙記者、貿易会社員などを経て、88年に私費留学生として来日。東京モード学園に通うかたわら新宿・歌舞伎町に魅せられ、「歌舞伎町案内人」として活動を始める。2002年、その体験をつづった『歌舞伎町案内人』(角川書店)がベストセラーとなり、以後、日中両国で著作活動を行う。2007年、故郷の味・湖南料理を提供するレストラン《湖南菜館》を歌舞伎町にオープン。2014年6月に日本への帰化を申請し、翌2015年2月、日本国籍を取得。同年4月の新宿区議会議員選挙に初出馬し、落選した。『歌舞伎町案内人365日』(朝日新聞出版)、『歌舞伎町案内人の恋』(河出書房新社)、『微博の衝撃』(共著、CCCメディアハウス)など著書多数。政界挑戦の経緯は、『元・中国人、日本で政治家をめざす』(CCCメディアハウス)にまとめた。

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