- HOME
- コラム
- 元・中国人、現・日本人
- 出演料10億円の美女ファン・ビンビンのゴシップが民…
出演料10億円の美女ファン・ビンビンのゴシップが民主化の兆し?
もう1つ、重要な要素がある。インターネットの告発を契機として汚職官僚や政府の不正を取り締まるのは、2000年代後半から流行した「網経問政」のスタイルだ。政府や官僚が不正を行っていないかをネットの力で監視し、問題があれば大々的に追及して圧力を掛けるというものだ。
習近平総書記は政権維持のため、ネットの批判を徹底的に封殺した。しかし絶対的な権力を得た今、再び網絡問政を復活させる可能性は否めない。崔の告発がその嚆矢だ。これまでなら社会を乱すとして封殺されそうな崔の発言が今回は許されている。そればかりか、税務当局まで崔に協力する姿勢を示している。
習近平政権が民主化改革を行う可能性はほぼゼロに等しいだろうが、民衆による限定的な政治への監視を認める可能性はある。単なる圧政、専制では国が腐るだけ。こんな簡単な道理は中国の優秀なエリートたちがよく理解している。崔の発言を許しているのは、中国共産党が網絡問政という漸進的ネット民主主義の導入を摸索しているためではないか。
政治体制の理想は完全な民主主義だが、そこに至る過程として、段階的な民主主義要素を導入することは望ましいと考える。劇薬は患者を殺しかねない。もし民主化という劇薬で中国が大混乱に陥れば、日本にもその悪影響は及ぶ。できることからやっていく。漢方薬のような、ゆっくりとした民主化推進プロセスがあってもいい。
映画界にまつわるゴシップ騒動、それはゆっくりとした漢方薬的中国民主化が始まるきざしなのかもしれない。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
この筆者のコラム
新宿案内人が14年も続けたコラムを休載する理由 2018.12.20
彼女は誰よりも私に密着した 映画『選挙に出たい』に映らなかった場面 2018.11.30
サウジ記者殺害事件と海南航空不審死をつなぐ「点と線」 2018.11.02
「歌舞伎町のイエス・キリスト」が本当にクリスチャンになった日 2018.10.10
根拠なきデマと誹謗中傷に新宿案内人がすべてお答えする 2018.09.19
6歳の中国人の日本への難民申請を手伝ったら、炎上した 2018.08.20
中国大手32社が「不審死&経営難」海南航空と同じ運命をたどる!? 2018.08.14