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教育論議から考える、日本のすばらしいサービスを中国が真似できない理由
eli_asenova-iStock.
<詰め込み型の中国式教育か、創造性を重んじる日本や欧米の教育か――。8歳の息子には日中折衷の教育を受けさせているが、自分の原体験や日本でのレストラン経営経験から言えるのは、こうした対比よりも大切な「家族の絆」だ>
こんにちは。新宿案内人の李小牧です。
私には8歳になる息子がいる。先日、「お子さんの教育は日本式ですか? 中国式ですか?」と友人に質問された。中国と言えば世界に名だたるスパルタ教育大国だ。厳しい大学受験を勝ち抜くため、子どもの頃から勉強漬け。「点滴を受けながら自習する子どもたち」という、ある進学校の写真が流出して世界を驚愕させたこともあるし、「子どもを受験地獄で苦しめたくない」との理由で移民を考える親までいるほどだ。
とはいえ、海外の甘やかした教育ではエリートにはなれないと心配する人もいる。米国の大学入試で華人が圧倒的な好成績を残していることがその証明だ。今や子どもの創造性を重んじる日本でも、歌舞伎など伝統芸能には「型」という言葉がある。中国の伝統教育も同様の概念を持っている。子どもにとっては辛いだろうが、まずは学ぶべき内容を叩き込むことこそが上達の道だという考え方だ。
詰め込み型の中国式教育、創造性を重んじる日本や欧米の教育。果たしてどちらが正解なのだろうか? というわけで、「元・中国人、現・日本人」の教育方針をここでお披露目してみたい。
勉強量と創造性はどっちが大事?
「歌舞伎町式勉強法で成績急上昇!」と、うさんくさい子育て法の本でも書けばベストセラーが狙えるかもしれないが、いくら歌舞伎町が人生勉強の聖地とはいえ8歳の息子にはまだ早すぎる(笑)。私の方針は目新しいものではない。平々凡々、日中の折衷路線だ。
まずは勉強量。確かに日本の学校教育だけでは勉強量が足りない。宿題以外に中国で買ってきた教材で勉強させているし、週に1回、中国語教室にも通わせている。中国に住む親戚とも日常会話ができるレベルまで上達したようだ。
一方で感性や体力を養うことも重要視している。例えば、囲碁。「人生の先を読む力が養われる」と、ある高名な中国人囲碁棋士に聞いたためだ。めきめきと上達し、今では私では相手にならなくなってしまった。水泳にも毎週通っている。元バレエダンサーの私としては、息子にもバレエを習わせたかったのだが、妻から猛反対を受けてあきらめた。芸能の道に進めば勉強する時間がなくなると心配しているのだ。子ども時代にバレエスクールに通うぐらいで心配しすぎだと思うのだが、言い争いになっても妻には勝てないのが日中共通の文化だから仕方がない(笑)。
勉強量重視か創造性重視かとの問いには、「どちらも大事」というのが私の答えだ。どちらかに偏ればいびつな子どもに育ってしまう。
中国式詰め込み教育と欧米式創造性教育の対比は、長年議論され続けてきたテーマだ。代表例が2010年に米国で出版されたエイミー・チュアの『Battle Hymn of the Tiger Mother』(邦訳は『タイガー・マザー』朝日出版社、2011年)だろう。すさまじいスパルタ教育の描写が論議を呼び、全米ベストセラーとなった。
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