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「危険ドラッグ」の呼称が注意喚起になっていない理由
(写真はイメージです) Teerawut Bunsom-Shutterstock
<「不審者」「防犯カメラ」「防犯ブザー」も同じ。名付けて満足してしまう「言霊信仰」から日本は脱出すべき>
報道によると、危険ドラッグの販売店が増えているという。危険ドラッグとは、規制を逃れるため、麻薬や覚醒剤などの構造に似せて作られ、同様の作用を起こす薬物のことだ。「ハーブ」「アロマ」「野菜」などと称して販売されている。
厚生労働省は、人体に影響のある有害物質を指定薬物として規制しているが、指定までのタイムラグが生じるのは避けられない。そこで、こうした商品への注意を喚起するため、厚生労働省と警察庁は、この種の薬物を「危険ドラッグ」と命名し、注意を呼びかけている。
ところが、危険ドラッグは麻薬や覚醒剤より安く、インターネットで手に入りやすいため、前述したように、販売店の増加につながってしまうわけだ。この問題を解決するための一方策として、「危険ドラッグ」を「有害ドラッグ」に名称変更すべきだという意見がある。
その是非について、一般の人々はどう考えているのだろうか。Polimill株式会社が提供するSNS「Surfvote」が賛否を尋ねたので、その投票結果を見てみよう。
この結果を見ると、「有害ドラッグ」への名称変更については、消極的な意見が大勢のようだ。個別の意見には、次のようなものがあった。
筆者は当初から「危険ドラッグ」の用語に批判的だった。なぜなら、ドラッグ(薬)には必ず、副作用を起こすリスクがあるからだ。始めから読んでも、終わりから読んでも「クスリのリスク」である。つまり、「危険ドラッグ」は、「馬から落馬する」「頭痛が痛い」のような重複表現に近い言葉なのだ。
にもかかわらず、前出の調査では、18%しか「有害ドラッグ」を支持せず、61%も「危険ドラッグ」を支持していた。この結果については、「言霊信仰」が影響したと思えて仕方がない。言霊信仰とは、言葉に一種の霊力があり、言葉に出すと、それが現実になってしまうと信じることである。海外にも見られる現象だが、日本で特に顕著だという。
不幸なことは「縁起でもない」として、言わないようにし、見ないようにする。マスコミも報道しないようにする。報道すれば「煽っている」と批判されるからだ。その結果、「最悪の事態」を想定できず、多くの悲劇を招いてきた。例えば、太平洋戦争の時も、「日本が負ける」という意見が「縁起でもない」として非国民の発言とされ、戦争をやめられなかった。
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