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脱炭素化が「新たな地政学」生む...COP29で「温室効果ガス排出81%削減」表明した英スターマー首相の皮算用
116億ポンドの気候資金を途上国に提供するとともに気候投資基金(CIF)資本市場メカニズムも立ち上げた。途上国の気候変動関連プロジェクトに民間資金を動員するための金融イニシアチブだ。ロンドン証券取引所を通じ最大750億ドルを動員する可能性があると期待する。
欧州連合(EU)からの離脱で地盤沈下が著しい世界的な金融センター、ロンドンの地位を取り戻す狙いもある。スターマー政権は脱炭素経済への移行は約7兆ドルの投資機会をもたらし、グリーン経済は年率7~11%で成長すると見込む。
収入は増えないのにコストだけは膨れ上がる
世界的なネットゼロ(実質排出ゼロ)への移行を可能にする商品やサービスの供給は30年までに英国企業に1兆ポンドの価値をもたらす。英国ではすでに約64万人がグリーン産業で働いており、20~22年にかけ20%も増加しており、英国全体の雇用の4倍のペースで成長している。
脱炭素経済への「バラ色の移行」が実現するのかは分からない。クリーンエネルギーや電気自動車(EV)を購入する負担が有権者の生活にのしかかれば、スターマー首相は4~5年後の総選挙で米民主党のジョー・バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領の二の舞いを演じるだろう。
英国ではコロナ危機やウクライナ戦争の5年間で25%近く物価が上昇した。英国の政策金利は4.75%、長期金利はレイチェル・リーブス財務相の財政拡張で4.53%にハネ上がった。企業も世帯も収入は増えないのにコストだけは膨れ上がるスタグフレーションの兆候に苦しんでいる。