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生活に苦しみ、移民に反発する「庶民」が熱狂...マリーヌ・ルペン「国民連合」が再・旋風を起こすフランスの今
Obatala-photography/Shutterstock
<政党名を「国民連合」に変えて脱悪魔化を進めるマリーヌ・ルペン。6月の欧州議会選に向けてマクロン大統領の政党を大きくリードする>
[ロンドン発]「フランスを復活させる」――フランスの右派ナショナリスト政党「国民連合」(旧国民戦線)のマリーヌ・ルペン国民議会党代表は3月3日、フランス南部マルセイユで集会を開き、6月の欧州連合(EU)欧州議会選に向けてスタートを切った。
「政治には時代がある。大きな変化の時だ。時代の終わり、サイクルの終わり、システムの終わりを告げる。友よ、今がその時だ。私たちは崩壊したシステムの瓦礫の上を歩いているという感覚を深めている。私たちは支配の終わりを告げる空気の中を生きているのだ」(ルペン氏)
2017年、22年の仏大統領選でエマニュエル・マクロン大統領と決選投票を争ったルペン氏は党名を穏健な「国民連合」に変え、脱悪魔化を進めてきた。欧州議会選の世論調査で国民連合は30%前後の支持率を維持し、マクロン氏の政党「再生」(旧共和国前進)を約10ポイント引き離す。
ルペン氏が人気を集めているのは、コロナ危機の後遺症やインフレ、利上げが影響している。独統計会社スタティスタによると、インフレの年率は22年5.9%、昨年5.63%(推定)、今年2.46%(同)。欧州中央銀行(ECB)の政策金利は4.5%に据え置かれ、世帯の購買力を圧迫する。
フランス国民には不人気なウクライナ支援
ウクライナ支援も不人気だ。ルペン氏はマクロン政権を「野党に憤慨することしか知らない亡霊政府」と切り捨て、ウクライナへの部隊派遣を示唆したことについて「戦争がもたらす苦しみと破壊を知っていて、どうして自国を気軽に戦争に駆り出そうと考えられるのか」と皮肉った。
「マクロンは政権に就いてから7年間、フランスをフランスたらしめているものを解体することを止めなかった。独自の核抑止力や国連安全保障理事会常任理事国の立場をEUに付与しようとしている。核抑止力を主権の不可分の要素として憲法に明記することを提案する」
16年の英国のEU離脱、ドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利以来、世界中でエリート対ノンエリートの戦いは続いている。世界金融危機後の銀行救済と緊縮財政、コロナ危機に対する超金融緩和と財政拡張がもたらしたインフレが低所得・貧困層のノンエリートを容赦なく痛めつける。
資産バブルで「濡れ手に粟」の富を手にしたエリートのツケを支払わされるのはいつも無知なノンエリートなのだ。ルペン氏の言う「サイクル」や「システム」は確かに存在する。貧困やどん底への鎖を断ち切ってくれるとノンエリートはルペン氏やトランプ氏の甘言に吸い寄せられる。