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BBCはどうして、ハマスを「テロリスト」と呼ばないのか? 「大英帝国」が送る複雑な視線
「中東を報道してきた50年間、私はレバノンやガザでの民間人を標的にしたイスラエルの爆弾や大砲による攻撃の影響も見てきた。その恐怖は今も心に残る。しかし、それを実行した組織の支持者をテロ組織だと言い始めるのは客観的な立場を保つ(報道の)義務を放棄することになる」
「私たちはどちらの側にも立たない。私たちは『邪悪な』とか『卑怯な』というような表現は使わない。私たちは『テロリスト』についても語らない。だからこそ英国だけでなく世界中の人々が毎日、私たちの発言を見たり、読んだり、聞いたりしている」とシンプソン氏はBBCニュースのウェブサイトに記している。
大英帝国主義の残滓
英ニューカッスル大学のマーティン・ファー上級講師(現代英国史)はNPO(非営利組織)のオンラインメディア「カンバセーション」への寄稿「中東紛争で露呈した分断」の中で「『ポグロム』は教室の外ではあまり耳にすることのない言葉だが、リシ・スナク英首相が下院で中東情勢に関する声明を発表した際、最初に語られた言葉の一つだ」と指摘する。
「ユダヤ人の組織的虐殺を意味するこの言葉は10月7日のハマスの行動を正当防衛とみなす人々でさえ同意するものだ。この言葉は地球上で最も難解な紛争におけるこの瞬間を特徴づけている」(ファー氏)。英国政府はイスラエルとパレスチナの2国家解決を支持する一方で、イスラエルによるパレスチナ占領地での入植地建設などの問題に懸念を表明してきた。
「保守党も労働党もイスラエルを支持しているが、パレスチナ人はハマスの行動のために苦しめられているというコンセンサスは崩壊し始めている。労働党左派や一部の学者はイスラエルの対応を『集団的懲罰』と表現している。これは論争を呼ぶ主張だが、イスラエルの同盟国間の分裂がハマスの意図したものであったのは間違いない」とファー氏は指摘する。
大規模テロやロシアの侵攻のあとフランスやウクライナへの支援を表明したイングランド・サッカー協会(FA)も10月13日のイングランド代表の親善試合でウェンブリー・スタジアムのアーチを青と白で照らしてイスラエルを支援することを拒否したとして非難された。FAは代わりにイスラエルとパレスチナの紛争の犠牲者を追悼した。
10月28日、約10万人の親パレスチナ市民がイスラエル・ハマス戦争の即時停戦を求め、ロンドン中心部でデモ行進した。ロンドンで親パレスチナの大規模デモが行われるのはこれで3週連続。ドイツ、インドネシア、パキスタン、フランス、イタリア、ノルウェー、スイスでも同様のパレスチナ支援集会が開催された。