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効果は高いが、貧困層には死活問題...ロンドン「超低排出ガスゾーン」規制、市全域への適用めぐる大激論
「スターマー党首はいずこ?」
保守党はツイッターで「スターマーのカーン市長はロンドンの家庭や企業に年間約4500ポンド(約82万円)の負担を強いることを選択している。勤勉なロンドン市民への税金だ」と攻撃を強める。マーク・ハーパー運輸相も「スターマーはどこにいるのか? 彼はカーン市長に不必要な拡大を断念するよう言うべきだ」と指摘した。
フランスで18年、温暖化対策を促進するための燃料税引き上げに反対する抗議デモ「黄色ベスト(イエロージャケット)運動」が暴徒化して、死者を出す事態に発展したことは記憶に新しい。エマニュエル・マクロン仏大統領が大幅に燃料税を引き上げたため、ディーゼル車やガソリン車を使う運転手の生活が苦しくなったのが発端だ。
温暖化対策の新たな国際的な枠組み「パリ協定」を受け、マクロン大統領は「脱炭素」経済への移行による雇用創出を宣言した。ガソリン車、ディーゼル車の新車販売を終わらせるため電気自動車への買い替えに最高6000ユーロ(約93万円)を補助する方針を打ち出したが、電気自動車は安くても2万ユーロ(約311万円)もするため、庶民には手が出ない。
仏紙ルモンドは「エリートが地球の終わりを語る時、僕たちは月末に苦しんでいる」とのルポを掲載した。英国の保守党政権内では住宅新設時のガスボイラー設置やガソリン車・ディーゼル車の新車販売の禁止、ヒートポンプ導入を先送りする動きも出ている。ウクライナ戦争やインフレが温暖化対策にブレーキをかける恐れが膨らむ。