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「しゃもじ」批判では分からない...岸田首相「電撃訪問」、ウクライナから見た「効果」
岸田首相の訪問がG7首脳の中で一番遅かったのはやむを得ない事情がある。福島原発事故で原発再稼働が遅れ、エネルギー自給率が一時は6.3%(21年は13.4%まで回復)まで落ち込んだ日本はロシアでの資源開発事業を「エネルギー安全保障上、重要」と位置づける。北方領土問題も抱え、地政学上、中国とロシアを同時に敵に回すのは得策ではない。
G7で議長国を務める日本は旗幟を鮮明にする必要に迫られていた。中国の習近平国家主席が20日から3日間の日程でモスクワを訪問し、ウラジーミル・プーチン露大統領と会談。そんな中、岸田首相の訪問は平和国家・日本が西側陣営に属していることを世界中に示した。「必勝しゃもじ」云々より日本の首相としてウクライナを訪れたことに大きな意味がある。
日本は55億ドルの追加財政支援
独キール世界経済研究所によると、軍事・人道・金融支援は米国732億ユーロ(10兆5700億円)、欧州連合(EU)と加盟27カ国で549億ユーロ(7兆9200億円)、英国83億1000万ユーロ(1兆2000億円)。軍事支援ができない日本は10億5000万ユーロ(1500億円)と大きな差がついていた。
このため岸田首相は昨年来進めてきた16億ドル(2100億円)の人道・財政支援に加え、55億ドル(7300億円)の追加財政支援を行うことを決定した。電力、地雷処理、農業などさまざまな分野でウクライナを支えていくという。金額以上に岸田首相の行動が、ロシアに睨まれることを必要以上に恐れる日本企業の背中を後押しする効果に期待したい。
ジェフリー・ソネンフェルド米エール大経営大学院教授はロシアとビジネスを続ける企業のリストを公開している。それによると、これまで通りビジネスをしている日本企業は伊藤忠商事、三井物産、三菱重工、東京電力、みずほFG、NTTなど14社。様子見を続けているのは日本たばこ、日本製鉄、KDDI、武田薬品工業、豊田通商、三井住友FG、東芝など10社だ。
筆者と妻は車いすの補助具をウクライナに寄贈する人道支援を手伝った縁で知り合った国際慈善団体フューチャー・フォー・ウクライナ(FFU)から昨年10月「日本からウクライナに車いす500台を送ってもらえないか」というSOSを受けた。廃棄される車いすを整備して海外に寄贈してきた日本の4団体の全面的な協力ですでに295台を現地に送った。
4団体は希望の車いす、さくら車いすプロジェクト広島支所(CIL・かんなべ)、海外に子ども用車椅子を送る会、「飛んでけ!車いす」の会で、500台を超えて年内支援を継続する方向で協議を進めている。日本からポーランドまでの海上輸送は、第1便は日本郵船(NYK)、郵船ロジスティクス、第2便は商船三井、株式会社三協が無償で引き受けてくれた。
オールジャパンの取り組みは名付けて「Japan Wheelchair Project for Ukraine」。
https://japanwheelchairforukraine.org/