- HOME
- コラム
- 欧州インサイドReport
- イギリスで「異例の歓迎」受けた岸田首相、「中露帝国…
イギリスで「異例の歓迎」受けた岸田首相、「中露帝国」にどう立ち向かうか
トラス氏はNATOの門戸開放政策を支持し、フィンランドとスウェーデンが加盟を選択した場合、可能な限り早く受け入れるよう呼びかけた。米中パワーが逆転する21世紀は欧州大西洋とインド太平洋両方の安全保障が求められるとして、加盟国をアジアに広げるのではなく世界的な脅威に対処するために世界的な視野を持つ「グローバルNATO」体制を提唱した。
岸田政権はG7と連携して(1)資産凍結対象の個人を約140人追加(2)輸出禁止対象のロシア軍事団体を約70団体拡大(3)量子コンピューターなどの輸出禁止(4)ロシアの銀行の資産凍結対象を追加――するなど制裁を強化する。ロシア外務省は報復として岸田氏や林芳正外相、国会議員、大学教授、報道関係者ら63人の入国を無期限で禁止した。
国際エネルギー機関(IEA)によると、日本のエネルギー自給率(2020年)は11%と、フランスの55%、ドイツの35%に比べても格段に低い。ウクライナ戦争によるエネルギー価格高騰や地球温暖化対策と脱炭素化を考えると、ロンドンの金融街シティで岸田氏が講演したように「原子力の活用」はもはや避けては通れない喫緊の課題だ。
ジョンソン氏は岸田氏の訪問を栄誉礼と英空軍の戦闘機ユーロファイター・タイフーン2機とVIP輸送機ボイジャー・べスピナの儀礼飛行で歓迎した。異例のもてなしだ。自由と民主主義、法の支配などの価値規範、資源とエネルギー、最先端テクノロジーを巡り、世界は文字通り真っ二つに割れている。