コラム

実は効いていない「ロシア制裁」...巨大な「抜け穴」とは? 元米財務長官が指摘

2022年04月12日(火)12時32分

「私は当分の間、ドルは基軸通貨としての役割を維持すると確信する。ドルでの取引が許されない場合、ユーロや日本円で取引するようになるシナリオは考えにくい。暗号通貨が従来の政府通貨に取って代わる可能性も低い。外貨準備として中国の人民元を増やす人よりも減らす人が多いのではないか」との見方を示した。

気候変動対策については「私は終末論を好まない。今後5年間で終末論者が求めることをすべて達成できる可能性は低い。5年後に彼らが地球を救うことはできなかったと宣言することもないだろう。環境分野で私たちが学んだ最も重要な教訓は、技術は進歩し、変化は加速し、私たちの期待より急速に進む傾向があるということだ」と指摘する。

「犠牲より技術革新とその促進に重点を置く方がより優れた戦略だ。気候変動を巡るオール・オア・ナッシングのレトリックは問題を解決できないという無力感を生み、逆効果だ。ドイツの脱原発の決定は大きな失敗だった。人々が原子力発電に懸念を抱いていたことは理解できるが、脱原発は脱炭素のコストを大きくする」と話した。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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