コラム

再びウクライナ侵攻の構えを見せるプーチン露大統領の一手は「攻め」か「守り」か

2021年12月06日(月)20時25分

三つ目が今回のウクライナ国境付近への大規模なロシア軍の展開だ。今年7月、プーチン大統領はウクライナの独立国家としての権利を否定する6千語のエッセイを発表しているとピファー氏は指摘する。

「これらの危機はすべて西側に圧力をかけている。しかしプーチン大統領とクレムリンはやりすぎてしまうリスクをはらんでいる。プーチン大統領が計算間違いを犯した場合、ロシアにとって不利な結果を招くだろう。しかし西側はプーチン大統領がやりすぎてしまう可能性を過度に否定すべきではない」とピファー氏は釘を刺す。

これまでのプーチン大統領の武力行使パターンをみると、自分の計画通り事が進まず、土壇場に追い込まれた時、即座に武力を行使している。そのあと紛争の火種を消さずに、ロシア周辺の紛争をそのまま凍結させて西側とのバッファゾーン(緩衝地帯)を設けている。

バイデン大統領がウクライナのNATO加盟を強行するとプーチン大統領が判断すればためらわずにプランBを発動するだろう。国境が2万キロを超えるロシアを統治するプーチン大統領は基本的に「攻め」より「守り」に軸足を置いていると筆者にも見えるのだが......。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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