コラム

「アンドルー王子は性的人身売買の犠牲者であることを知って性行為に及んだ」性接待を強いられた女性が訴え

2021年08月12日(木)19時48分

・2回目は、ニューヨークのエプスタイン氏の邸宅で、アンドルー王子はバージニアさんを性的に虐待した。この際、ギレーヌ氏は、バージニアさんと別の犠牲者をアンドルー王子の膝の上に座らせた。

・3回目は、アンドルー王子は米領バージン諸島にあるエプスタイン氏のプライベートアイランドでバージニアさんを性的に虐待した。

「大統領であろうと王子であろうと、法より上の人はいない」

・バージニアさんはエプスタイン、ギレーヌ両氏、アンドルー王子による明示的、黙示的な脅迫により、アンドルー王子との性的行為に従事することを余儀なくされた。自分自身または他の人への死または身体的傷害、その他の影響を恐れた。アンドルー王子は性的人身売買の犠牲者であることを知って性的行為に及んだ。

・アンドルー王子はエプスタイン、ギレーヌ両氏からバージニアさんが17歳であることを知らされていた。アンドルー王子は公務ではなく、個人的な立場で行動していた。アンドルー王子は英BBC放送のインタビューでエプスタイン氏との友情を後悔しておらず、バージニアさんと会った記憶はないと述べた。

・アメリカでは大統領であろうと王子であろうと、法より上の人は誰もいない。どんなに無力であろうと脆弱であろうと、法の保護を奪われることはない。20年前、アンドルー王子は富、権力、地位、つながりにより、保護する人が誰もいない、怯えた弱い子供を性的に虐待した。アンドルー王子の行いは文明化されたコミュニティーで耐えられる範囲を逸脱している。

アンドルー王子が法廷で反論しなければ、上の訴状通り、バージニアさんの訴えが認められます。最大の争点は、バージニアさんが17歳と知りながらアンドルー王子が性的関係を持ったのか、どうかです。ギレーヌ氏は全面無罪を訴えており、英紙デーリー・テレグラフによると、アンドルー王子の側に立った証言をする用意があるそうです。

バージニアさんがアンドルー王子を訴えた背景には、他の犠牲者にも勇気を持って名乗り出るよう促す狙いもあるはずです。アンドルー王子だけでなく、息子を溺愛し、放蕩を許してきたエリザベス女王も崖っぷちに追い込まれています。対応を誤れば英王室を根底から揺るがす危機に発展するのは必至です。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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