韓国で不動産価格が高騰し続ける理由
ソウルで建設中の大規模マンション(2020年10月) Kim Hong-Ji-REUTERS
<文在寅の支持率が就任以来最低に下落した背景には不動産価格の高騰があると言われる。コロナ禍で景気も悪いのになぜこうなったのか>
韓国ではこのところ、韓国政府の強力な不動産規制政策とコロナ禍による景気の不確実さにもかかわらず、不動産価格が高騰を続けている。さらに、最近は宅地開発などを手がける公共機関である韓国土地住宅公社(LH)の職員らが、2018年〜2020年の間にソウル郊外の住宅開発対象に指定された地域の土地を発表前に不正に購入していた疑惑が発生。文在寅大統領の支持率は3月3週目には34.1%まで低下した。2017年5月の文政権発足以来、最も低い支持率だ。なぜ韓国では不動産価格が高騰し、政権の支持率にまで影響を与えているだろうか。
■文在寅大統領の支持率
出所)韓国リアルメータのホームページより筆者作成
現在の状況
韓国不動産院(旧韓国鑑定院)が3月11日に発表した月刊住宅価格動向によると、2021年2月の全国の住宅価格は1カ月前に比べて、 0.89%上昇した。また、2021年2月の不動産価格指数(住宅)は、108.1(2017年11月=100)で、地域別には韓国の行政首都ともいわれている「世宗特別自治市」の指数が 141.2で最も高く、次いで大田市(128.0)、京畿道(114.1)、大邱市(114.0)、ソウル市(112.1)、仁川市(110.2)の順で上昇幅が高かった。
■地域別不動産価格指数(住宅):2017年11月=100
出所)韓国不動産院のホームページ「月刊住宅価格動向」から筆者作成
このように、不動産価格指数(住宅)だけをみると、ソウル市や首都圏(ソウル市、京畿道、仁川市)のアパート(日本のマンションに当たる。以下、マンション)価格は大きく上昇してはいないように見える。それでは、なぜマスコミはソウル市や首都圏のマンション価格が大きく上昇していると騒いでいるのだろうか。
韓国の国土交通部は、文政権に代わってからソウル市のマンション価格は14%上昇したと発表した。しかしながら韓国不動産院のホームページに公開されている共同住宅実取引価格指数をみると、ソウル市のマンションの売買実取引価格指数(2017年11月=100)は、文政権が誕生した2017年5月の95.4から2021年1月には149.1となっており、約1.56倍上昇している。
市民団体の経済定義実践市民連合は10月16日、文政権が発表している公示地価は実際の取引価格の35%水準の金額しか反映していないと指摘する報告書を公表した。この数値は、李明博政府の44%、朴槿恵政府の43%よりも低い水準だ。
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