コラム

賃上げ要求はするが、裏では「労使のなれ合い」が横行...「組合」のイメージを変えた、そごう西武ストの戦略性

2023年09月13日(水)18時52分

この仕組みは経済のパイが持続的に拡大する成長期にはうまく作用したが、バブル崩壊以降、企業業績が低迷する社会においては、労使のなれ合いや低賃金の慢性化を招く要因となっている。

今回、組合側のスタンスが大きく変わったということは、日本の労働者が置かれた環境が厳しくなったことの裏返しといえる。これまでデフレ経済が長く続いたことで、賃金が上昇しなくても労働者は何とか生活を維持できた。だが、日本経済が本格的なインフレ・モードに入ったことで、賃金が上がらないことが、生活苦に直結することになった。

おとなしく企業側の要求を受け入れ、低賃金に甘んじてきた日本の労働者が、いよいよ低賃金にノーを突き付けた場合、現状維持を続ける日本の企業社会にも大きな変化が到来する可能性がある。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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