コラム

「定価」が消える? リアル店舗もいよいよ価格が変動する時代へ...

2019年06月04日(火)13時55分

ところがメーカー各社は、白物家電であっても毎年モデルチェンジを行い、新製品として販促キャンペーンを行っている。量販店には、多額の販売奨励金を支払うので、量販店は発売直後の高価格な製品ばかり売ろうとする。その結果、半年もすると各製品は激しい値崩れを起こすというのが現実だ。

各社は、スペック的には何も変わっていないにもかかわらず、型番だけを変えた新モデルを投入し、値崩れしないうちに販売するという悪循環が続いている。白物家電という製品の本質を考えると、これは一種の異常事態といってよい。

このような無理な販売を続けていると、高い価格で購入してしまった一部の消費者は必要以上の出費を強いられるので、その後の消費意欲が減衰する。つまり需要の先取りが発生してしまい、消費全体に対してよい影響を与えない。

メーカーは、利用者のニーズと製品のスペックに見合った適正な価格を設定し、細かい価格変動は、小売店に任せればよい。今回の量販店によるリアルタイム価格導入が、国内家電市場の価格適正化につながるのであれば、それは喜ばしいことである。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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