ウクライナ停戦は世界のパラダイムシフトを引き起こすのか
それは、17世紀の西欧で形成された「主権国家」を解体し、領土すら売買の対象にすることでもある。世界を国境のないサプライチェーンの統一空間に変えた、グローバル大企業の論理だ。もう国家は要らない。そうなれば、社会保障のために金持ちが余計な税金を払う必要もなくなる。
日本としてはそれでもいいが、ルールはきちんとしてほしい。参考になるのは、1975年の全欧安全保障協力会議。欧米とソ連が「ヘルシンキ宣言」に署名し、現状の国境を力で変更することは認めないことで合意した。企業の論理を国際関係に持ち込むなら、「国家の敵対的買収は認めない」というルールを国連憲章に書き加えてはどうだろう。
【関連記事】
ゼレンスキー主演『国民の僕』あらすじから占う、2025年ウクライナ情勢と停戦後の命運
不法移民追放、仮想通貨の規制緩和......トランプ2.0の米経済に忍び寄る「リーマン2.0」

アマゾンに飛びます
2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
領土は売買できるもの――「トランプ新世」の価値観に対応せよ 2025.03.28
アメリカの対中優位は揺るがないのか......「旧友」ジョセフ・ナイ教授との議論 2025.03.15
ウクライナ停戦は世界のパラダイムシフトを引き起こすのか 2025.02.28
日本でも世界でも、公共事業で整備された近代インフラは老朽化でもう限界 2025.02.14
ゼレンスキー主演『国民の僕』あらすじから占う、2025年ウクライナ情勢と停戦後の命運 2025.02.01
駐留米軍は本当に必要なのか? 戦後80年の日米関係を棚卸しせよ 2025.01.14