ウクライナ停戦は世界のパラダイムシフトを引き起こすのか
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世界のメディアはこぞってロシアの思惑どおりと報じているが PHOTO ILLUSTRATION BY ARTEM PRIAKHINーSOPA IMAGESーREUTERS
<トランプの「アメリカファースト」が、物事は取引と力で決めるという新たな時代へ世界を引きずり込む>
ウクライナ停戦のプロセスが、ぎしぎしと音を立てながら始まった。この原稿を書き始めた2月20日には、トランプ米大統領がその前日に「ゼレンスキー大統領は(選挙もせずに居座る)独裁者だ」と言ったことで、世界のメディアは大騒ぎになり、ロシア人は「これでアメリカはロシアの側に立ってくれた」と思い込んだ。
皆、ちょっと気が早すぎる。シミュレーションしてみよう。トランプは、ゼレンスキーを排除しないと話が進まないと思っているし、もともと彼をバイデン寄りと思い込んで嫌っている。で、ウクライナで大統領選挙が行われるとどうなるか?
ゼレンスキー一派がゼレンスキーの出馬を認めるか、それとも別の候補を出して利権と権力を維持しようとするかで、展開は随分違ってくる。ゼレンスキーでは多数票は取れまい。昨年末の世論調査では、大統領選挙が行われたら、彼は24%の得票率で、36%のワレリー・ザルジニーに大差で敗北となる。ザルジニーは2022年のロシア軍侵入をはね返した時の軍総司令官で、今は駐英大使として遠ざけられている。
しかし新大統領が就任するまでにはあと数カ月はかかり、それまで戦いは続くだろう。春のぬかるみの中での戦いは、進むほう、つまりロシア側に不利。ロシアはそれほど占領地域を拡大できまい。
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