世界が憧れた「アジアの時代」はなぜ幻に終わったのか
日本はどうする? 経済面では、アジアに代わる成長エンジンを探さねばならない。これまでの成長モデルが途上国の低賃金労働でモノを組み立て、それを販売・輸出して利益を上げるという国際的な格差を利用したものであるなら、これからは自国内部の格差を成長のエンジンに転化できないか。
例えば、高所得者への課税強化や国債発行による国民金融資産からの借り上げで、低所得層に国内の余剰資金を分配、需要を喚起することで成長の好循環に結び付けるのは、どうだろう。国際政治の面で、日本はアジアでは珍しい民主政治を守ることを主眼にバランス外交を展開することになるだろう。
近世西欧に発するヒューマニズム=人間中心主義、そしてそれに基づく民主主義は、アジアでは一般的だった地主-小作の関係が薄かった日本にとって押し付けられたものではない、自分本来のものなのだから。
<本誌2019年12月24日号掲載>
12月24日号(12月17日発売)は「首脳の成績表」特集。「ガキ大将」トランプは落第? 安倍外交の得点は? プーチン、文在寅、ボリス・ジョンソン、習近平は?――世界の首脳を査定し、その能力と資質から国際情勢を読み解く特集です。
「またトラ」でウクライナ停戦が成立すれば、北朝鮮兵が平和維持軍に? 2024.11.12
中国経済が失速しても世界経済の底は抜けない 2024.10.22
「焦げたアンパンマン」? 石破首相はワルになれ! 2024.10.08
強権政治家、故フジモリ大統領を礼賛した日本社会のリーダー像 2024.09.26
テレグラムCEOドゥロフは、国境を突き破るIT巨人 2024.09.06
日本にキレるロシアには大人の対応を 2024.08.24
米経済の立て直しには「根本治療」が必要だ 2024.08.01