コラム

注目は、韓国ドラマばりのエリート・韓東勲が復活できるか──戒厳令後の韓国

2024年12月27日(金)22時20分
韓国与党「国民の力」前代表の韓東勲

韓国与党「国民の力」前代表の韓東勲(ハン・ドンフン) KIM HONG-JIーPOOLーREUTERS

<出世街道を爆進していた韓国与党「国民の力」の前代表。尹錫悦による戒厳令で挫折をしたが、復活できるのか>

韓国与党「国民の力」の前代表である韓東勲(ハン・ドンフン、51)は豊かな家庭に育った秀才で、名門大学を優秀な成績で卒業した。その後もエリートコースを歩み、若くして誰もが羨む社会的地位に到達する。韓国ドラマの典型的な「エリート」像だ。

韓は少年期をソウル市内の高級住宅地で過ごした。学校の成績は常によく、クラスのリーダーとして慕われた。名門ソウル大学法学部に現役合格した彼は、司法試験にも大学在学中に合格し、検事に任官する。


初任地は誰もが憧れるソウル地方検察庁であり、2度の地方勤務を除けば、大統領官邸、法務省、大検察庁(最高検)などの花形ポストを歴任し、エリート街道を進み続けた。

実績も豊富で、朴槿恵(パク・クネ)や李明博(イ・ミョンバク)といった元大統領の捜査に参加した。財閥に関わる事件でも敏腕を振るい、「財界の死に神」との異名を取った。

こうした検事時代の活躍で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の知己を得た韓は、検事出身者としては最年少で法相に抜擢され、尹の後継者候補として注目を浴びた。

その後、与党「国民の力」の非常対策委員長や代表を務めたが、支持率を低下させるばかりの尹からは距離を置くようになった。

プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


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