コラム

コロナに住宅購入資金まで奪われるイギリスの若者たち

2020年04月29日(水)13時00分

こうした数字はかなりおおよそのもので、地域ごとに大きく異なるが、軽く計算してみただけでも、現実的には2万ポンドほどの貯金が必要になる(賃貸住宅の家賃もとても高いから、これだけの貯金をするのは難しい)。ロンドンなら、だいたい3万~5万ポンドが必要だ。ここまで貯めるには、相当ハードに働いてハードに貯金しなければならない。

言いかえれば、高額な頭金を貯めるために多大な犠牲を払ってきたのに、今や職を失い、何らかの福祉手当の受給資格を得るためにはこれまでの蓄えを使い果たさなければならない、という若者がたくさん出てくるだろう。彼らは自分より浪費家の若者たちが福祉手当をすぐに受給できるのを横目に、さらには既に住宅を手に入れ「達成して」いた自分より幸運な若者たちが手当にありつけるのを見ながら......自らの夢が崩れ去るのを見守ることになるだろう。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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