前回に続いて為替操作に関して「監視リスト」入りを果たした日本
Toru Hanai-REUTERS
<半年ごとに出される米財務省の為替報告書で、再び日本は「監視リスト」入り。円高が進んでいることは問題視されておらず、為替介入へのハードルは高い>(写真:米大統領選の動向を注視する東京の外為市場)
半年に一度の米財務省の為替報告書、最新号が10月14日(現地時間)と公表となりました。
1年半前の2015年4月の公表の際には、中長期のドル円為替レートについて1ドル102円が適当との指摘がありましたので、その旨を2015年5月に寄稿し、駄目押しのつもりで120円台はドルの売り時では?と2015年6月に寄稿しましたが、今年に入ってから、「あれで随分助かった」と実務家の皆さまを中心に直接間接的に御礼を頂戴することがままありました(お役に立てたのであれば何よりですが、御礼ならワタクシではなく客観的検証を元にした明解な分析をコンスタントに公表する米財務省へお伝えいただくのが筋かと思います)。最新の内容についても心待ちに下さっている読者がおられるようなので、取り急ぎざっとではありますが、見ておきたいと思います。
前回2016年4月から報告書の表紙も内容も一新したことはお伝えした通りです。客観性・公正性をより重視し、新たに貿易収支・経常収支・為替介入という3項目での基準枠を設定。3項目ともオーバーすれば3ストライクでアウト(「為替操作国」に認定、制裁措置等の対象へ)。前回は中国、日本、韓国、台湾、ドイツの5か国は2ストライク(「監視リスト」入り、さしずめ黄色信号が点滅している状態とも言えましょう)でした。今回は新たに加わったスイスの他、以前と同じメンバー(中国、韓国、台湾、ドイツ)とともに日本も引き続き「監視リスト」入りを果たしています。
なお、短期的要因を排除するため、一度「監視リスト」に入ると2半期連続して枠内に収まっているのが確認できるまで留まることになります。中国は今回3項目のうち貿易収支1項目だけのオーバーですが二期連続してとのルールに基づき引き続き、日本は前回と同様に貿易収支と経常収支の2項目でオーバーしているためであり、同じ「監視リスト」入りでも状況が違うことが最初の概略部分で触れられています。
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