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なぜ中国がTPPに加盟申請? 唐突ではない「アジア太平洋自由貿易圏」と「一帯一路FTA」構想
でも、アメリカ抜きの今のTPPに、そんな力はあるだろうか。アメリカ不在だからこそ、中国は今加盟を申請したと思われるのに。
かつて、ASEAN+3(日・中・韓)を主張した中国に対して、それでは中国が強すぎるからと、他の3カ国(オーストラリア・ニュージーランド・インド)を誘ってASEAN+6を提唱したのは、日本だった。
結局、中国が妥協して、ASEAN+6はRCEPの構築へとつながっていった。
しかし、日本が期待したような「日本やオーストラリア、ニュージーランドなどの民主主義の先進国が加わったことで、RCEPに水準の高さの影響を与える」は、多勢に無勢で、叶わなかったという現場からの報道があったのを覚えている。
中国の参加で、TPPが二の舞にならないとは限らない。日本は、APEC創設時からの同士であるオーストラリア、そしてニュージーランド等と、よく話し合うのが良いのだろう。
対中の懸念から、結局RCEPに参加していないインドの意見も、クアッド(QUAD:日米豪印戦略対話)メンバーとしては、話し合いが必要になるのではないだろうか。
評価や実現の度合いは別として、中国の描く戦略は大きい。アジアや太平洋地域の未来を見据えた日本の大きな戦略とは何か、真剣に考えなくてはならないだろう。
●参考資料
中国の FTA 戦略と一帯一路戦略(江原 規由氏)
TPP とアジア太平洋の FTA:経済連携の方向性(馬田 啓一氏)
APECの概要(外務省)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
※筆者の記事はこちら。
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