コラム

勝利宣言をしたスタージョン党首。独立への思いを語る:スコットランド議会選挙

2021年05月11日(火)12時30分


木曜日に行われた投票で、スコットランドが何に投票したのかを明確にしましょう。スコットランドの人々は、独立派の政党がスコットランド議会で過半数を占めるように投票しました。前回の議会より、今回の議会の方が、より大きく過半数をとっているのです。

国民党と緑の党は、次の議会の期間中に、独立の是非を問うという明確な公約を掲げました。そして、私たちは両党とも、住民投票のタイミングは、スコットランド議会の議員の単純過半数によって決定されるべきだと述べました。

住民投票は、私や国民党の要求ではありません。これは、来週私たちの国民議会(national parliament)に着任する議員の過半数が、人々に約束したことなのです。

スタジョーン氏は「通常の民主主義の基準」では、「ボリス・ジョンソンやその他の人物が、スコットランドの人々が自分たちの将来を選択する権利を妨げようとすることは、民主的には全く正当化されない」と述べた。


もしそのような試みが行われたら、英国は対等なパートナーシップではなくて、驚くべきことに、ウェストミンスター(ロンドンの議会)はもはや、英国を自発的な国家連合とは見ていないということを決定的に示すことになるでしょう。このこと自体が、独立を求める非常に強力な論拠となるでしょう。

独立を支持する私たちに課せられた使命は、仲間である市民を辛抱強く説得することであり、それが国民党の意図することです。


対決姿勢を見せる保守党

一方で、スコットランド保守党は、すでに対決姿勢を見せている。同党は、前回と同じ議席数を維持した。

同党の党首であるダグラス・ロス氏は、保守党が得た選挙結果が示しているのは、人々は議員たちに「共に働く」のを求めている事だとしながらも、国民党を批判した。


予想どおり、ニコラ・スタージョンはすでに分裂を煽っています。

数時間のうちに、彼女は有権者との約束を破り、すでに再度の住民投票を要求しています。

私たちの約束は、スコットランド保守党への投票は、国民党が過半数をとるのを阻止するための投票となるということでした。そうすることでindyref2(=independence referendum 2の略 = 2度目の独立住民投票)を阻止し、コロナ禍からの復興に100%焦点を戻すというものです。

このような批判に対して、スタージョン氏は、野党は「すでに、民主主義の基本的なルールを書きかえ、選挙での勝利とは何か、独立のための委任とは何かを再定義しようと必死になっている」と、批判を返した。

プロフィール

今井佐緒里

フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出合い、EUが変えゆく世界、平等と自由。社会・文化・国際関係等を中心に執筆。ソルボンヌ大学(Paris 3)大学院国際関係・ヨーロッパ研究学院修士号取得。日本EU学会、日仏政治学会会員。編著に「ニッポンの評判 世界17カ国最新レポート」(新潮社)、欧州の章編著に「世界が感嘆する日本人~海外メディアが報じた大震災後のニッポン」「世界で広がる脱原発」(宝島社)、連載「マリアンヌ時評」(フランス・ニュースダイジェスト)等。フランス政府組織で通訳。早稲田大学哲学科卒。出版社の編集者出身。 仏英語翻訳。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ラファ空爆 住民に避難要請の数時間後

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、4月も50超え1年ぶり高水準 

ビジネス

独サービスPMI、4月53.2に上昇 受注好調で6

ワールド

ロシア、軍事演習で戦術核兵器の使用練習へ 西側の挑
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 3

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 6

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 7

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 10

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story