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オリンピックの競技連盟で権力を持ち始める、中国のスポーツ戦略
このようにして70年代から80年代にかけて、「スポーツエリートに対する民衆の支持」というドクトリンが実施された後は、「参加するだけではなく、国際大会で優秀な成績を収め、国全体が誇りに思えるようになること」が課題となったと、ゴメス研究員は語る。
中国の戦略の公式は「第一段階では中国が参加する。次に結果を出す、その次にはスポーツ大会を組織する、最後は国際的なスポーツ連盟に席を得ることだ」と、シャプレ名誉教授はまとめた。
巨大人口にすりよる新スポーツ
中国では、体操、卓球、射撃など、伝統的にメダルを獲得できる種目の連盟を中心に活動しているが、スケートボードやクライミングにも参入し始めている。
これらは、東京大会で初めて実施される新しいスポーツだ。国際オリンピック委員会は、新しい人たち、特に若者をひきつけ、競技人口を増やすことを期待しているのだ。
「中国は賭けに出ています。数々の連盟の未来に、自らを位置づけているのです」と、ゴメス研究員は説明する。例として、7人制ラグビーを挙げている。このスポーツは、2016年のブラジル・リオ五輪でメディアに取り上げられ、関心をもった人が多くなったのが原因だという。
シャプレ名誉教授は、「場所(places)が『安い』ことも原因です。何年にもわたって、ヨーロッパ人に占領されていないのです」という。
さらに、「中国はいつも、適応したスポーツ施設を建設するとほのめかしています。北京オリンピックの前に近代五種競技のために建設をしたように、です。新しい連盟に夢を見させてくれるのです」と名誉教授はいう。10億人以上の消費者がいる市場へのアクセスが、夢を見させてくれるのだという。同じような理由で、卓球界でも水泳界でも、異変が起きてきている。
(近代五種競技とは、一人でフェンシングランキングラウンド・水泳・フェンシングボーナスラウンド・馬術・レーザーランの5種目をこなし、順位を決める複合競技のこと)。
国際経済や国連と同じ
このように、スポーツ界でも中国は自国の利益を追求している。
スイス・ローザンヌにある国際オリンピック委員会の本部を訪れる人がよく指摘するように、「国際スポーツの世界は、現実の世界を反映したものでしかありません。国際貿易機関(WTO)や国連と同じように、地位や影響力をめぐる戦いが繰り広げられるのです」。
しかし、中国の少数民族ウイグル人への迫害は、問題を引き起こすかもしれない。このことを理由に、2022年冬季五輪をボイコットするという控えめな脅しが始まっているからだ。中国のソフトパワーによる「良き秩序づくり」は、妨害されることになるかもしれない。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
※筆者の記事はこちら。
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