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ブティジェッジ、あるいはブー・ダジャージュ、ブッダジャージュ、アブー・ダジャージ......に注目する理由
しかも、米国の報道によると、8か国語しゃべれるという。あるYouTubeの動画で、彼はアラビア語、ダリー語、フランス語、スペイン語、ペルシア語、イタリア語、ノルウェー語をしゃべっている。
ただし、これだと7言語で、残りが英語だとしたら、彼はマルタ語をしゃべれないことになる。あるいはアラビア語となっているのが実はマルタ語なのであろうか(実際、彼がアラビア語で挨拶しているところがYouTubeにあったが、かならずしも正確なアラビア語ではない)。または、ダリー語とペルシア語を同じだとすると、残りがマルタ語ということになる。
アラビア語やペルシア語ができるとはいっても、彼はムスリムではない。米国聖公会の信者とされる(ちなみに米国聖公会は同性愛を認めている)。
ちなみに、アラビア語の姓をもつ大統領候補は彼がはじめてではない。たとえば、1972年以来、たびたび大統領選に挑戦してきたラルフ・ネーダーもそうだ。2000年の大統領選では、共和党のブッシュ、民主党のゴアにつぐ第3の候補として文字どおりキャスティング・ボートを握り、リベラル票の多くがネーダーに流れたため、ゴアがブッシュに敗れたといった説もある。
消費者運動の旗手としてデビューし、近年は環境活動家としても知られるラルフ・ネーダーはレバノン系移民の子で、ネーダーはアラビア語「ナーデル」を英語読みにしたものだ。彼もブティジェッジと同様、プリンストン大学とハーバード大学を卒業した知的エリートであり、アラブ系ではあるが、ムスリムではなく、キリスト教徒である。
移民2世であっても、能力さえあれば、大統領、あるいは有力な大統領候補になれる、というのはやはり米国の底力であろう。若く、同性愛を公言し、アラビア語の姓をもつ移民2世の候補にはぜひ今回の大統領選を引っ掻き回してもらいたい。
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