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日本の「論破ブーム」、行きすぎて「屁理屈」になっていないか
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ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN
<論理的思考は確かに大切だが、欠けているものがある。シャーロック・ホームズを生んだイギリスに今こそ学ぶべきだ>
【ホームズの憂鬱】
シャーロック・ホームズと相棒のワトスン博士がキャンプに行った。おいしい夕食とワインを楽しんだ後、彼らは眠りに就いた。
数時間後、ホームズがワトスンを起こして言った。
「ワトスン君、見上げてごらん。何が見える?」
ワトスンが答えた。
「満天の星空だ」
「では、ここから君は何を推理するかね?」
ワトスンはしばらく考えた後、話し始めた。
「そうだな。例えば天文学的な見地から言えば、宇宙には何百万もの銀河と何十億もの惑星が存在するであろう」
ワトスンが続ける。
「占星学的に考えれば、土星が獅子宮(ししきゅう)にかかっているのが観測できる。時計学ならば、今はだいたい3時15分頃だ。気象学から予測するなら、おそらく明日は晴れである。神学で言うなら、神は全能であり、宇宙にとって私たちはちっぽけな存在だ」
ワトスンが満足そうな表情を浮かべながら聞いた。
「では、ホームズ、君なら何が分かる?」
ホームズがため息をついてから答えた。
「ばか! 私たちのテントが盗まれたんだよ」
日本では昨今、「論破ブーム」とのこと。なるほど、話を論理立てて前に進めていくことは大事である。これまで日本人が苦手とされてきた側面とも言えるかもしれない。
私は以前、ヨーロッパで暮らしていたが、確かに論理的思考を大切にする国(民族)は多いように感じる。
シャーロック・ホームズを生んだ国であるイギリスもまさにその1つ。客観性のある事実を重視し、自らの思い込みによる判断を避けようと努める。
本当に論理的な人と話をすることは楽しい時間となる。
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