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東京五輪の「国際公約化」は日本政府の自作自演
「五輪開催の有無」についての提言は取りやめた尾身会長(6月18日) Issei Kato-REUTERS
<科学的見地から五輪開催の可否を助言するはずの尾身・分科会会長までが、「国際公約」を盾に判断を回避>
6月11日から13日まで、イギリスのコーンウォールでG7サミットが開催され、日本からは菅義偉首相が出席した。昨年秋に就任した菅首相にとっては、これがサミット初参加だった。
国内では、菅首相のプレゼンスが話題になっていた。記念撮影などで首脳たちがまとまって動くとき、英語が喋れないこともあり、菅首相は周囲から孤立しているようにみえた。それが支持率に影響するとみたのか、日本のSNSでは、甘利元経産大臣が「総理は外交が苦手?そのイメージを吹き飛ばす鮮烈なデビューがG7でした。公正な国際秩序に向けG7が持つべき覚悟に消極的な1(ママ)部首脳に対し、相手の目を見据えて一喝する迫力に先方もタジタジ」とツイートするなど、強い印象操作も目立った。
オリンピックの「国際公約」化?
菅首相は全日程が終了した後、サミットで東京オリンピック開催への「支持」を取り付けたと語った。首相および日本の与党政治家やメディアは、これで東京オリンピックは「国際公約」となったので、開催中止はあり得なくなったと論じている。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長はこれを受けて、提言にオリンピック中止を盛り込むことを取り下げたと述べた。
しかし、果たしてオリンピックは「国際公約」となったのだろうか。日本以外のメディアの扱いを見てみよう。たとえば筆者がG7に関するドイツのニュースを調べてみたところ、オリンピックが「国際公約」となったことどころか、オリンピックがG7で扱われていたことすらほとんどニュースになっていなかった。菅首相の扱いも、コーンウォールにほぼいないも同然であった。
ドイツ国際公共放送は、G7の主要な話題は「中国、気候変動、コロナ」であったと指摘している(6月11日)。オリンピックは話されるべき話題だと扱われてはいなかったのだ。オリンピックへのG7の「支持表明」とされる首脳声明では、オリンピックが扱われたのは最後の2、3行であり、いかにも日本政府によって捻じ込まれたような文言になっている。
「また、新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の団結の象徴として、安全・安心な形で2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催することに対する我々の支持を改めて表明する。」
「国際公約」の国内政治利用
第二次安倍政権は、その在任期間に二度の消費税増税を行った。そのいずれも国内消費に多大な影響を引き起こし、景気後退を招いた。一度目の増税時に、民主党政権がつくった、景気に問題がある場合は消費税増税を見送るとするいわゆる「景気条項」を外し、災害が頻発するなどして景気が減速した2019年、二度目の増税を強行した。
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