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大西卓哉宇宙飛行士「きれいごとではなく、僕らのリアルを知ってほしい」【独自インタビュー】
──その場合、大西さんの一番の強みは何ですか。
大西 強み......そうですね、パイロットも宇宙飛行士もそうですけれど、ある意味危険と隣り合わせの環境でずっと仕事をしているので、その中で巨大な機械的なシステムを運用していくことにはそれなりに経験を積んでいる自信はあります。
パイロットにしても宇宙飛行士にしても、プレッシャーのかかる場面や緊張感のある場面が仕事の中で多いですよね。人間って普段のパフォーマンスが100だとしたら、緊張するとどうしても下がるじゃないですか。
でも、パイロットや宇宙飛行士として場数をずっと踏んでいると、だんだんその落ち幅が少なくなってくるんです。僕はそういう経験を積んでいるという自信があります。そういうところが、自分に次のステップがあるとしたら強みになると思います。
──宇宙関係を取材している記者の立場からすると、ISSの経験なしにいきなり月に行くのはちょっと難しいと思うので、大西さんの世代に一番チャンスがあるのかなと感じるのですが。
※筆者注:インタビュー当時、アルテミス計画における日本人の月着陸は1人目が28年、2人目は32年を目指すと見られていたが、現在は予定が後ろ倒しされている
大西 そうですね。そこは多分これからすごく議論されていくと思いますが、私も同感です。もちろん一発で月面に行ってちゃんとできる人はいると思うんですけれど、やっぱりリスクがあって、場数を踏んでこそついてくるスキル、経験値は絶対にあります。そこは自分も負けないので、頑張る余地はあるなって思いますけれどね。
──もし大西さんが月に着陸できるとしたら、何が一番したいというか、何を一番意識したいですか。
大西 「しっかりとそのミッションを遂行する」、そこが一番ですね。もちろん「自分が宇宙飛行士として月面に立ってみたい」という純粋な子供じみた願望はありますけれど、一番はそこにミッションしに行くので、それをしっかりとこなしたいです。
大西卓哉宇宙飛行士「きれいごとではなく、僕らのリアルを知ってほしい」【独自インタビュー】 2025.03.14