コラム

宇宙飛行士にして医学者、古川聡さんに聞いた「地球生活で活かせる宇宙の知見」と「『医師が宇宙飛行士』の利点」

2024年12月03日(火)17時10分
古川聡宇宙飛行士

帰国時の記者会見に応じる古川宇宙飛行士(6月17日) 筆者撮影

<現役最年長のJAXA宇宙飛行士かつ最新の宇宙からの帰還者である古川聡さん。ISS(国際宇宙ステーション)での仕事や生活について報告した11月9日の「JAXAシンポジウム2024」や、これまでの独自インタビューを通して、「ユニークな宇宙飛行士」古川さんの言葉と人柄を紹介する>

JAXA宇宙飛行士は、本年10月に認定された米田あゆさん、諏訪理さんを含めて、歴代で13人となりました。古川聡さん、星出彰彦さん、油井亀美也さん、大西卓哉さん、金井宣茂さんと新認定された2人、計7人が現役です。

みなさんは、宇宙飛行士と言えば、どんな人物像を思い描くでしょうか。

宇宙でどんなトラブルがあっても圧倒的なリーダーシップでみんなを引っ張る「カリスマ」でしょうか。それとも、閉鎖空間での集団生活でも場を和ませる明るい「ムードメーカー」でしょうか。

筆者はこれまでに、宇宙飛行士と記者会見で対面したり、直接インタビューしたりする機会を何度か得ています。彼らはいずれも、宇宙に対する夢と希望、地球人類のために率先して宇宙開発を行う責任感を強く持つ、応援したくなるような魅力的な人物です。そしてもちろん、それぞれに異なる個性があります。

今年の3月にISS(国際宇宙ステーション)の長期滞在を終えた古川さんは、現役最年長のJAXA宇宙飛行士かつ最新の宇宙からの帰還者です。筆者は取材を通して、古川さんに「こつこつと勤勉で、周囲を温かく見守り、科学的発見には少年のような満面の笑みを浮かべる大学教授のような人」という印象を持っています。

ただ、とても控えめな人なので、記者会見では「損をしているな」と感じてしまうこともあります。それを裏付けるように、関係者から「古川さんは本当に謙虚」「もっと自己主張をすればいいのに」と心配する声が聞こえてくることも少なくありません。

古川さんは、11月に5年ぶりにホールで対面開催となった「JAXAシンポジウム2024」で、ISS長期滞在中の仕事や生活について報告しました。そのときの様子やこれまでの独自インタビューなどを通して、古川さんの言葉と人柄を紹介します。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト/博士(理学)・獣医師。東京生まれ。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第 24 回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

戒厳令騒動で「コリアディスカウント」一段と、韓国投

ビジネス

JAM、25年春闘で過去最大のベア要求へ 月額1万

ワールド

ウクライナ終戦へ領土割譲やNATO加盟断念、トラン

ビジネス

日経平均は小幅に3日続伸、小売関連が堅調 円安も支
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説など次々と明るみにされた元代表の疑惑
  • 3
    【クイズ】核戦争が起きたときに世界で1番「飢えない国」はどこ?
  • 4
    JO1が表紙を飾る『ニューズウィーク日本版12月10日号…
  • 5
    混乱続く兵庫県知事選、結局SNSが「真実」を映したの…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「IQ(知能指数)が高い国」はど…
  • 7
    NATO、ウクライナに「10万人の平和維持部隊」派遣計…
  • 8
    健康を保つための「食べ物」や「食べ方」はあります…
  • 9
    韓国ユン大統領、突然の戒厳令発表 国会が解除要求…
  • 10
    シリア反政府勢力がロシア製の貴重なパーンツィリ防…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 5
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 6
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや…
  • 7
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 8
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 9
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 10
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story