コラム

ヒトの直立二足歩行の謎をAI分析で解明 「骨格のプロポーション」が鍵に

2023年08月09日(水)15時40分

この研究は、ヒトが進化の過程で過去にたどったことのみを解明しただけではありません。
たとえば、身長に対してお尻の幅が広いほど変形性関節炎や腰痛になる可能性が高い、身長に対して大腿骨が長いほど膝にトラブルを抱えやすいなど、関節のトラブルに関係する遺伝子の変異や骨格の特徴も突き止められました。

現在は「人生100年時代」とも言われます。関節炎は「高齢者の寝たきり」につながるなど、QOL(クオリティオブライフ)を大きく左右します。人類の700万年の進化と、個人の健康に関する知見が1つの研究で明らかにされるのが科学研究の興味深いところですね。

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プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト/博士(理学)・獣医師。東京生まれ。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第 24 回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)など。

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