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日本でも緊急避妊薬が薬局で買えるようになる? 試験販売決定の意義と問題点
世界の約90の国・地域では、医師の処方箋なしに緊急避妊薬を薬局等で入手できるという(写真はイメージです) New Africa-shutterstock
<緊急避妊薬を試験販売できる薬局は4つの厳しい要件を満たす必要がある。薬局で購入できるようになることで期待される変化について、日本で普及が遅れた理由を踏まえて紹介する>
性行為の後、72時間以内に服用すれば望まない妊娠を高確率で防ぐことができるとされる「緊急避妊薬」の市販化について、厚生労働省は先月26日、早ければ今年の夏頃から一部の薬局で試験的に販売する案を示しました。
日本では現在、緊急避妊薬の購入に際して医師の処方箋が必要なため、内服を急がなければならないのに入手しづらいことなどが課題となっています。そこで、医師の処方箋が必要な医療用医薬品から要指導・一般用医薬品への転用(スイッチOTC化)が検討されてきました。
日本で認可されている緊急避妊薬は、「レボノルゲストレル」というホルモン製剤を成分とした錠剤で、WHO(世界保健機関)には必須医薬品に指定されています。厚労省によると、世界では約90の国・地域で、緊急避妊薬を医師の処方箋なしに薬局等で入手できるといいます。
日本はなぜ、緊急避妊薬の普及が遅れたのでしょうか。どうして今のタイミングで、スイッチOTC化に踏み出そうとしているのでしょうか。さらに、諸外国のように薬局で買えるようになった場合でも、問題は残るのでしょうか。全体像を眺めてみましょう。
低用量ピルも緊急避妊薬も普及していない3つの理由
緊急避妊薬は、アフターピルとも呼ばれます。
経口避妊薬(ピル)には、計画的な避妊のために月経開始日から21日間連続服用して7日間休薬する低用量ピルと、緊急避妊薬として性行為後に1回服用する中容量ピルがあります。
低用量ピルは1960年代にアメリカ合衆国で開発されました。正しく使用すれば、妊娠の確率は1%以下と考えられています。現在は世界で1億人の女性が服用しているとされますが、国連が19年に行った使用率の調査ではフランスの33.1%、アメリカの13.7%に対して、日本は2.9%にすぎません。
緊急避妊薬は、70年代から欧米で処方され始めました。99年にフランスで認可されて以来、世界約50カ国に広まるまで日本では認可されず、11年にやっとレボノルゲストレル(商品名はノルレボ錠)が医療用医薬品として販売を開始しました。
この薬は72時間以内で早く使用すればするほど効果があり妊娠阻止率は平均で80%以上とされますが、性行為から24時間以内の内服で95%、25~48時間以内で85%、48~72時間以内で58%とする研究もあります。120時間以内の内服で妊娠阻止率が約95%のウリプリスタル酢酸エステル(UPA、商品名はElla等)は、10年にアメリカで認可されて以来、欧米を中心に現在、世界で広く使われていますが、日本ではこの薬は認可されていません。