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生魚の寄生虫アニサキス、古今東西の日本に見る予防対策
酢や塩漬けでもダメ。醤油やわさびを付けても幼虫は死滅せず、シメサバに調理しても予防にはならない(写真はイメージです) y-studio-iStock
<日本の食中毒の原因として最も多いアニサキス。効果的な治療薬はないというが、どう予防・対策すればいいのか? 古くからの食文化、最新の研究成果に学ぶ>
食欲が落ちる夏季に食べる魚介類は、刺身やイカそうめんなど喉越しのよい清涼感のあるものが人気です。けれど生食は、適切な処理を施さないと食中毒を起こす場合があります。
最近、元AKB48の板野友美さんが罹患してニュースになった「アニサキス症」も、サバ、イカ、カツオなどに見られる寄生虫が原因の食中毒です。アニサキスの生活環や食中毒を起こさないための知識、最新の研究事情を紹介します。
日本近海だけで約160種の魚介類に寄生
板野さんは先月26日、YouTubeに「激痛に襲われ緊急で病院に行くことになりました」と題した動画を投稿しました。激しい胃痛で病院に行くと、最初は十二指腸潰瘍と診断されて薬を処方されます。けれど薬は効かず、夜も眠れないほどの痛みが続くために再度病院へ。2日前に寿司を食べたことを告げると内視鏡検査(胃カメラ)をすることになり、アニサキスが1匹発見されます。胃からアニサキスを引っ張って除去するときも、「激イタ」で大変だったそうです。
食中毒の原因となるアニサキスは、正確にはアニサキスの幼虫です。長さ2~3センチ、幅0.5~1ミリの白色・糸状の見た目で、肉眼で確認できます。日本近海だけでも約160種の魚介類に寄生することが知られており、魚介類が死亡すると幼虫が内臓から筋肉に移動します。
アニサキスは、①卵が海を漂う、②海中で孵化してオキアミなどに食べられる、③オキアミを食べた中間宿主(サバ、イカ、カツオなどの魚介類)に幼虫の状態で寄生する、④中間宿主を食べた終宿主(イルカ、クジラなどの海洋哺乳類)の体内で成虫となり産卵する、⑤終宿主の糞便で海中に卵が放出される、という一生を送ります。
人がアニサキスの幼虫がいる魚介類を生で食べると、幼虫が胃壁や腸壁に頭部を潜入させて激しい腹痛を引き起こしたり、アレルギー反応を起こしたりすることがあります。
「急性胃アニサキス症」では、食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの辺りに激しい痛み、悪心、嘔吐を生じます。アニサキスアレルギーでは、蕁麻疹が主症状ですが、血圧降下や呼吸不全、意識消失などのアナフィラキシー症状を示す場合もあるといいます。基本的に治療薬はなく、胃にアニサキスが確認されたらば内視鏡を使って鉗子で除去、それ以外では対症療法が中心となります。
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