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国内唯一の地質時代名「チバニアン」の成り立ちと意義
命名のきっかけとなり、ゴールデンスパイクが設置された「千葉セクション」(市原市田淵) jkunami-iStock
<ゴールデンスパイクが打ち込まれるのは、地質時代の境界および層序を地球上で最も観察・研究しやすい1カ所のみ。市原市にある地層「千葉セクション」がその場所に選ばれた。なぜ房総半島だったのか>
46億年の地球の歴史を、誕生から現在まで117に分けた「地質時代」。2020年1月には日本の地名が初めて採用されて「チバニアン(千葉時代)」と命名されました。
21日には、きっかけとなった千葉県養老渓谷にある地層「千葉セクション」(市原市田淵)に、「国際標準模式地」(GSSP)と認定されたことを示す円形のプレート「ゴールデンスパイク」が設置され、国際的に重要な地層であることが改めて確認されました。
世界各地には、短い間で形態が変わった生物の化石など、時代の境目となる情報が多く残っている地層があります。これらが見つかると、観察しやすい土地の名前に因んで地質時代の名称を決めてきました。
マンモスやネアンデルタール人の時代
時代区分の定義や名称は絶えず見直されています。国際地質科学連合(IUGS)、国際第四紀学連合(INQUA)、国際層序委員会(ICS)等で検討され、4年ごとに開催される万国地質学会議(International Geological Congress)で批准されます。
「千葉セクション」は、約77万年前に地球の磁場(N極とS極)が最後に逆転した痕跡が残っている地層です。
「チバニアン」の命名前は、磁場が反転する前の時代「カラブリアン」との境目が最も観察しやすい場所として、千葉セクションとともに、イタリア・バジリカータ州マテーラ県の「モンタルバーノ・イオーニコセクション」、イタリア・カラブリア州クロトーネ県サン・マウロ・マルケザートの「ヴァレ・デ・マンケセクション」の計3カ所の地層が国際標準模式地の候補に上がっていました。
国際標準模式地とは、国際地質科学連合(IUGS)が地質学上の世界的な基準地として認めた模式地です。地質時代の境界および層序を地球上で最も観察・研究しやすい1カ所のみが認定され、ゴールデンスパイクが打ち込まれます。
国際地質科学連合(IUGS)は2020年、最も観察しやすい場所として千葉セクションを選び、「77万4000年~12万9000年前の『新生代第四紀中期更新世』」を「チバニアン」と命名しました。
ちなみに、「チバニアン」とはラテン語で「千葉時代」を意味します。生物でいうと、マンモスやネアンデルタール人がいて、チバニアン後期の約30万年前には現生人類の祖先であるホモ・サピエンスが登場する時代です。
ところで、地質年代表を見ると、新生代新第三紀中新世の2303万年前〜2044万年前の時代に「アキタニアン」があることに気付く人もいるでしょう。こちらは残念ながら、秋田県ではなくフランスのアキテーヌ地方から名付けられています。
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