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国内唯一の地質時代名「チバニアン」の成り立ちと意義
「チバニアン」は地質学上、どんな意義があるのでしょうか。
地球は、1つの巨大な磁石に例えられます。棒磁石のように地球にもN極とS極があり、地球の周りに磁力の世界「磁場」を作っています。これを地磁気と言います。
地磁気は、北極と南極を結んで、宇宙空間に半径6万キロ以上の磁気圏を作っています。地球の大気や水の宇宙空間への拡散を防ぎ、宇宙空間から降り注ぐ放射線(宇宙線)や太陽からの紫外線を減らして、生命を守る役目も果たしています。
地球誕生から46億年の間に、N極とS極は何度も入れ替わっていることが知られています。現在は北極がS極で南極がN極です。磁石は異なる極どうしが引き合うので、方位磁針のN極は北、S極が南を向きます。
過去360万年間では、地磁気は少なくとも11回反転したと考えられています。反転の間隔は一定ではなく、地層の痕跡から、瞬時に反転するのではなく数千年かけて磁場が変わるとみられます。約77万年前の最後の地磁気反転の後も、地磁気が弱まる現象が十数回起きましたが、反転には至りませんでした。
地磁気反転の研究は、20世紀初頭にフランスの地球物理学者ベルナール・ブリュンヌや京都帝国大学の松山基範教授らによって始められました。東北大学地質学古生物学教室の中川久夫教授らは、1969年に「房総半島新生代地磁気編年」で上総層群国本層内に最後の地磁気反転の痕跡が残されていることを発表しました。
その後、千葉セクションでは、堆積物に含まれる磁石の性質を持つ鉱物「磁鉄鉱」が、地層上部では現在と同じ磁気の向きを示したのに対し、地層下部では逆になっていたことが地元研究者らによって発見されます。
さらに、この地層には「白尾層(びゃくびそう)」と呼ばれる火山灰層が含まれています。この火山灰は約77万年前に古期御嶽山が噴火したときに降り積もったもので、火山灰の中のジルコンという鉱物で年代測定することで、77万4000年前という正確な年代を特定できました。
地磁気逆転前後の地層が観察できるだけでなく
千葉セクションは、なぜ地磁気逆転の証拠が観察しやすい形で残されたのでしょうか。
日本列島が現在の形になる前は、房総半島は海の底にありました。海底では、礫(れき)、砂、泥といった堆積物がきれいに積み重なります。
一方、日本列島は地殻変動が激しい地帯(変動帯)にあるので、海底で堆積した地層は、房総半島が隆起して地上に現れました。さらに養老川が地層を侵食することで、地層の断面が露出して観察できるようになりました。
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