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北海道で高病原性鳥インフルエンザが猛威 ヒトへの感染リスクと影響は?
では今回、北海道に蔓延している高病原性鳥インフルエンザウイルスに、ヒトは感染するのでしょうか。感染したトリ(野鳥やニワトリ)を食べたり、死骸や糞を直接触るなどの濃厚な接触をしたりしない限りはヒトの感染の可能性は極めて低く、北海道の住民も必要以上に恐れる必要はないと考えられています。
ただし21世紀になって、ヒトのインフルエンザは従来から流行している「季節性インフルエンザ」以上に、動物由来の新しい「パンデミック・インフルエンザ」の危険性が問題視されています。
季節性インフルエンザは、毎年冬に流行するインフルエンザです。日本では毎年、約1000万人が罹患していて、38℃以上の高熱や、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状、咳や喉の痛みなどの呼吸器症状が見られます。高齢者や小さな子供、呼吸器系の基礎疾患があるとリスクは高まりますが、多くの人がある程度の免疫を持っているので致死率は0.1%程度です。
いっぽう、新型インフルエンザは、人類が免疫を持っていないインフルエンザです。新型コロナウイルス感染症は、これまでに誰も罹患したことがなかったので人類が免疫を持っておらず、世界中で爆発的に流行したことは記憶に新しいでしょう。
1918年から19年にかけて世界的に流行した「スペインインフルエンザ(スペイン風邪)」は、たった2年間で当時の世界人口18億人のうち5億人が感染し、少なくとも数千万人が死亡しました。後の研究で、原因ウイルスは鳥インフルエンザウイルスが人に感染するようになったものであることが分かりました。
A型インフルエンザウイルスは、感染力が強く、変異が起きやすいウイルスです。今回の北海道の高病原性鳥インフルエンザも、ウイルスを持つ動物が増えれば変異は起こりやすくなるので、ヒトへの感染リスクや重症化リスクが高まる可能性もあります。とりわけ、4月から5月にかけては、冬の間を日本で過ごした渡り鳥がシベリアに帰る時期と重なります。鳥の移動は、鳥インフルエンザウイルスを広い地域に蔓延させるおそれがあります。
鶏用のワクチン開発も進む
日本では、養鶏場内で高病原性鳥インフルエンザが発生した場合、感染したニワトリと同じ養鶏場内の個体はすべて殺処分されるので、ウイルスに感染した鶏肉や卵が市場に出回ることはありません。なので、消費者の立場では汚染された鶏肉を食べてしまうリスクがないことはありがたいですが、農家は深刻な経済被害を受けます。
ヒトは、インフルエンザが大流行しそうな年は、冬に備えてワクチンを接種します。現在、鶏に対しても鳥インフルエンザを予防するワクチンの開発が進められています。とはいっても、養鶏場は数万羽を飼育している場合が多いので、ニワトリ1羽ずつを捕まえて保定して注射しなくてはならないとなると、飼育管理者の負担は膨大です。そこで、たとえば国立研究開発法人農研機構の動物衛生研究所では、目薬タイプの点眼ワクチンを開発しています。
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