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北海道で高病原性鳥インフルエンザが猛威 ヒトへの感染リスクと影響は?
感染したニワトリと同じ養鶏場内の個体はすべて殺処分されるため、養鶏農家にとっては大打撃(写真はイメージです) Ruslan Sidorov-iStock
<キツネにタヌキ、エミューのウイルス感染を確認──高病原性鳥インフルエンザの発生は、なぜ大きなニュースになるのか。ウイルスの特性、季節性インフルエンザとの違い、養鶏農家への影響、ペットへのリスクを紹介する>
4月に入ってから、北海道で高病原性鳥インフルエンザが猛威を振るっています。とりわけ、今までに国内では感染が確認されなかった動物から、高病原性鳥インフルエンザウイルスの陽性が判定されて、関係者の警戒感が高まっています。
環境省は4日、札幌市内で3月末に回収されたハシブトガラス5羽とキタキツネ1匹を北海道大で検査した結果、高病原性鳥インフルエンザウイルスへの感染が確認されたと発表しました。哺乳類で同ウイルスが検出されるのは国内で初めてです。キタキツネが感染したカラスを食べたことが原因とみられています。さらに8日には、札幌市内で見つかった衰弱したタヌキ1匹も、高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染していたことが分かりました。哺乳類で2例目です。
15日には、網走市の農場から「エミュー(ダチョウに似た大型の鳥)が複数死んでいる」と通報があり、翌日に高病原性疑いの鳥インフルエンザと確認されました。農林水産省によるとエミューの感染確認は国内初で、エミュー500羽と同一農場内にいるニワトリ100羽の殺処分が始まりました。
同日には、約52万羽を飼育する白老町の養鶏場でも陽性個体が確認されました。北海道は自衛隊に災害派遣を要請し、同養鶏場のすべてのニワトリの殺処分を開始しました。ちなみに高病原性鳥インフルエンザ疑いのニワトリは、8日に北海道からほど近い青森県横浜町の養鶏場でも現れており、既に約16万羽が殺処分されています。
高病原性鳥インフルエンザの発生は、なぜ大きなニュースになるのでしょうか。①パンデミック・インフルエンザ(新型インフルエンザ)との関係、②養鶏農家への打撃、③ペットへのリスクを見ていきましょう。
ヒトにも感染するのは、鳥やブタ由来のウイルスの一部
鳥インフルエンザは、A型インフルエンザウイルスが引き起こす鳥の病気です。そのうち、ニワトリが感染すると高確率で死亡するものを高病原性鳥インフルエンザと呼びます。
鳥インフルエンザウイルスは、もともとはカモなどの野生の水鳥が腸内に持つウイルスです。ウイルスは水鳥には悪さをしませんが、水鳥から家禽(ニワトリやアヒルなどの家畜の鳥)に感染するようになって、家禽に対して神経症状や呼吸器症状をおこすウイルスへ変異が起きるようになりました。
A型インフルエンザは、多様な動物種が罹患することで知られています。ブタ、イヌ、ウマ、クジラ、アザラシなどの動物もインフルエンザにかかります。全てのA型インフルエンザの起源は鳥インフルエンザウイルスと考えられており、鳥のウイルスがブタを介してヒトに感染したことが、ヒトのインフルエンザの起源とされています。とはいえ、今のところヒト以外のインフルエンザウイルスでヒトにも感染するものは、鳥やブタ由来のウイルスの一部です。
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