コラム

北海道で高病原性鳥インフルエンザが猛威 ヒトへの感染リスクと影響は?

2022年04月19日(火)11時20分

今回の北海道の高病原性鳥インフルエンザは、一般人は自分から率先して野生動物の死骸に近づかない限りは、感染リスクは小さいと言えます。ただし、キツネやタヌキといったイヌ科の動物が感染しているので、飼い犬への感染やペットの鳥への感染リスクには注意が必要です。

海外ではイヌやネコが高病原性鳥インフルエンザに感染した例があります。犬の散歩中に野鳥の死骸をくわえてしまったら、寄生虫やダニなどの他の感染リスクもあるので、ただちに取り上げる必要があります。その時、ヒトも素手で触るのではなく、使い捨てのビニール手袋などを使うべきです。とりわけ鳥の飼い主は、ペットと野生の鳥が接触しないように飼育環境の見直しが必要です。また、弱っている野良猫は、高病原性鳥インフルエンザに感染した野鳥の死骸を食べたのかもしれません。むやみに近づかないほうがよいでしょう。

現在はカラスの繁殖期(3月から6月頃)でもあります。カラスはつがいを見つけるまでは集団で行動し、攻撃的になります。集団の中で1羽が感染すると、「密」な状態ですから集団全体に感染が広がるリスクが高まります。複数の死骸が一箇所に集まることで、さらに他の動物に広まる可能性も高まります。今後も、初夏までの2カ月は、高病原性鳥インフルエンザの発生は予断を許さない状況が続くかもしれません。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

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