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Web3で作る新しい家族の形=ブロックチェーンに刻むパートナーシップ証明
内山氏によると、自治体が発行する同性パートナーシップ証明書には、世田谷区型と渋谷区型の2種類がある。世田谷区型は、二人が署名し宣誓するだけで発行する。一方、渋谷区型は、結婚と同等の義務を含むパートナー契約を結び、公証人役場で公正証書を発行してもらう必要があるという。「例えば生命保険会社だと、生命保険の受取人になるのに渋谷区型の証明書を要求してくるかもしれません。一方、会社の福利厚生なら世田谷区型で十分というケースもあると思います」と内山氏は説明する。
Famieeは現在、世田谷区型の証明書を発行しているが、今後はアプリ上で権利と義務が記載された契約を結べるようにし、契約を結んだカップルに渋谷区型の証明書を発行していく準備を進めているという。
技術的にどうなのだろう。パートナーシップ証明書をブロックチェーン上に記載することが、技術的には一番単純で簡単だ。しかしだれでも閲覧できるブロックチェーン上に、本名などの個人情報を記載するのって危険じゃないだろうか。
内山氏によると、個人情報はFamieeのサーバー上やブロックチェーン上には保存しないという。ブロックチェーンに載せるのは、個人情報をハッシュ値にしたもの。ハッシュ値とは、ハッシュ関数とよばれる数式に入力すると出力される数字のことで、同じデータを入力すれば毎回必ず同じハッシュ値が出力されるが、逆にそのハッシュ値から元のデータが何であるのかは分からないというもの。
証明書を提出された企業が真贋チェックしたいときは、証明書に記載されているQRコードを読み込むと検証サイトに飛び、そこで証明書に記載された個人情報や証明書番号を入力してハッシュ値に変換。そのハッシュ値とブロックチェーン上のハッシュ値が同じであるかどうかをチェックすることで、証明書が本物であるのかどうかが分かる仕組みになっている。
Famieeは非営利団体が運営しているが、たとえ数百年後にこの非営利団体がなくなったとしてもブロックチェーン上のハッシュ値は残る。また検証サイトでは検証コントラクトの呼び出し方法の公開を予定しており、第3者が検証用のウェブサイトを自由に立ち上げられるようにするという。非常によく考え抜かれた仕組みだと思う。
内山氏によると、今後はLGBTQだけではなく、同じシェアハウスで暮らすシングルマザー同士でも家族関係を結べるようにFamieeの用途を拡大していきたいと話す。
家族って何なのだろう。社会制度を変えなくても、時代に合った家族の形を模索することができるようになってきた。
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