コラム

モンゴル人に対する文化的ジェノサイドの首謀者は習近平

2021年03月20日(土)15時30分

BBCによれば、男たちは強制労働に駆り出され、女性たちは組織的性犯罪の被害に遭っている。ウイグル人の家庭には中国人の男が「進駐」して長期間にわたって寝食を共にしており、男性がいなくなったウイグル人家庭では中国人男性がやりたい放題だと、日本や欧米に亡命した知り合いのウイグル人たちは証言する。

一方の中国当局は、大勢のウイグル人児童が漢語教育を受けて「中華民族」になりつつあるという手応えを感じているようだ。というのも、中国が言うところの「テロ」について同自治区から伝わってこなくなったからだ。

「中華民族の意識をモンゴル人にもしっかりと鋳造しなければならない」と、習は同化政策を命じる。モンゴル人はユーラシア各地に分布する民族であり、どうして一部が「中華民族」で、別の一部が「モンゴル民族」なのか。中華民族といえば、それは漢民族だけを指すとモンゴル人やウイグル人は認識しているので、習の強硬策は一層の反発を受けるに違いない。

そして、長期的には中国の民族政策そのものも失敗に終わるだろう。

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プロフィール

楊海英

(Yang Hai-ying)静岡大学教授。モンゴル名オーノス・チョクト(日本名は大野旭)。南モンゴル(中国内モンゴル自治州)出身。編著に『フロンティアと国際社会の中国文化大革命』など <筆者の過去記事一覧はこちら

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